気にかけてくれる人

父の日を、ときどき忘れそうになります。

母の日に比べると、存在感が少し薄い。気づいたら「あ、今週末じゃないか」という感じ。私にとって父の日は、時折そんな日です。

先日、なじみの酒店「高島商店」にTaroと立ち寄りました。店内に「父の日」のポップが出ていて、それを見て「ああ、そうか」とようやく思い出しました。

「忘れてた。まだ何も準備してない」

そう言うと、Taroがすぐに「じゃあ、お父さんにお酒を送ろうよ」と言ってくれました。

今年、選んでくれたのも、送ってくれたのも、Taroでした。獺祭の焼酎が、父のもとへ届きました。

近年、私も父の日には焼酎かビールを送るようにしていました。でも今回は、選択も手配も、全部Taroがやってくれた。それがなんだか、とてもうれしかった。

父は大喜びでした。

普段、自分で「いいもの」を買おうとしない人です。だからこそ、自分では選ばないようなお酒が届いたことが、うれしかったのだと思います。喜んでいる様子が伝わってきて、こちらまで温かい気持ちになりました。

思えば、Taroは私の家族に対して、いつも温かな気持ちを向けてくれます。

頼んでいるわけではありません。それでも「もうすぐ、のぶりん(母のあだ名)の誕生日だよね。ケーキ送っとこうか。一緒に美味しいの選ぼうよ」と、私を巻き込んで手配してくれます。過去には事前に私たちのところへケーキを複数手配し、美味しかった方を母に送ったことも。そういった優しさのおかげで、うちの家族はこれまで自分たちでは買わなかったような、特別な贈りものを受け取ってきました。

もちろん、私も私で家族に贈りものをします。でも、それとは別に、Taroからのギフトが加わる。思いがけないプラスオンの贈りもの。そのたびに、みんな本当に喜びます。

私たちは婚姻関係にあるわけではなく、家族ぐるみの付き合いがあるわけでもない。Taro自身も、自分の家族と深く関わるタイプではないし、私はTaroの家族と面識もない。だから、いわゆる「家族ぐるみ」とは、違います。

それでも、Taroは私の家族のことを、自然に気にかけてくれます。

そのことに、私は心がぽっと温かくなるんです。

家族になるとか、親戚になるとか、そういう形があるわけではない。でも、「私たちの仲間」として見てくれている感じ。

父の日ギフトとして届いたお酒を、父がとても喜んでくれた。それだけのことかもしれません。でも私にとっては、Taroが私の大切な人たちのことも、大切にしてくれているように感じられる出来事でした。

父の日は、忘れがちです。……でも、ときどきよ。ごめん。

でも今年は、忘れがちな日を思い出させてくれる人がそばにいること、そして自分の家族を一緒に喜ばせてくれる人がいることを、ありがたく思う機会になりました。

Text / 池田園子

【関連本】『焼酎語辞典

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