給食を食べたい

以前、大学の学食巡りをしていると書いた。6月は同志社大学や立命館大学で食べるチャンスがあったのだけれど、巡っているうちに、今度は「給食が食べたい」という気持ちが芽生えてきた。

小学校や中学校で食べていた、あの給食を。

スクールカーストの下層にいた私は、学校が好きだったわけではない。むしろ、苦手な場所だった。けれど、給食は好きだった。

とはいえ、全部が好きだったわけではない。ご飯に牛乳は、やっぱり合わないと今も思う。

でも、袋麺やきな粉揚げパン、ミルメーク、冷凍みかんのような、学校給食ならではのメニューには、今でも心が動く。特に袋麺は、いま食べているパスタや麺類と比べると、固まっていたり、独特の食感だったりするのだけれど、あれは別カテゴリとして好きだった。おいしさというより、「給食でしか食べられない味」だった。

ただ、学食と違って、給食は簡単には食べられない。

大学の学食なら、一般利用ができるところを探せば入れることがある。でも給食は、基本的に子どもたちのものだ。教員として働くか(教員免許はないので不可能だ)、給食センターもしくは学校に併設された給食室で働くかしないと、なかなか口にする機会がないのではと思う(賄いとして食べられるのでは、と勝手に想像している)。子どもを持たない私は、保護者として給食を試食する機会もない。

「週に1日だけ、給食に関われるバイトがあったらいいのに」と調べたこともある。給食センターの見学や、調理補助の単発バイトのようなものがあれば、行ってみたい。でも、そんな都合のいい募集はなかなか見つからない。

どうにかして食べる方法はないものかと調べていたら、京都には以前「6年4組」という、給食を再現した個室居酒屋チェーンがあったらしい。けれど、今は閉店している。近くだと大阪に店舗があるようだったけれど、日常的にふらっと行ける距離ではない。

それで一度、諦めた。

そんなときに思い出したのが、ときどき行く円町にある「まちのきゅうしょくしつ紙屋川」というお店だった。昔、保育園の給食室で働いていた方がされているお店。

ハンバーグの日に

先日訪問してみると、もちろん学校給食そのものというよりは、大人向けに整えられた定食店という感じだった。それでも「給食室」という響きだけで、もうかなり満たされるものがあった。

許可を得て撮影させてもらった。月1行って、1ヶ月のメニュー把握をしたい

900円で、毎週月・水・金に日替わりのメニューが出されている。あたたかく、ボリュームたっぷり。とてもいい食体験だったから、再訪間違いなし。

それでもやっぱり、あの「学校給食」への気持ちは残る。

ほかに給食に触れられるものはないかなと思って知ったのが、ドラマ『おいしい給食』だった。市原隼人さんが主演で、給食を愛してやまない教師を演じている。

これが、とにかく面白い。2019年に初めて放送され、その人気からシリーズ化されて、今年10月にはシリーズ4が放送されると決まっている。Amazon Primeでシーズン3までの全作と劇場版を見終えて、なぜここまで人気なのかがよくわかった。

給食への愛しっぷりが半端ではない。一つひとつのメニューに対する向き合い方が真剣すぎて、見ているこちらまで大笑い。でも、ただ面白いだけではない。生徒たちに向けて、ふと心に残る言葉を投げかける場面がある。

給食大好き教師のドラマでありながら、その中には人生訓のようなものが随所に散りばめられている。

給食を食べたい。でも、現実にはなかなか食べられない。

だから今は、給食に近い場所を探したり、給食室という響きに惹かれてお店に行ったり、ドラマを見たりしながら、その気持ちと付き合っている。

食べたいものが、すぐに食べられるとは限らない。

でも、食べられないから終わりではなくて、「じゃあ、今できる形でどう触れられるか」を考えてみる。そうすると、給食そのものにはたどり着けなくても、その周辺にある記憶や空気や物語には、意外と出会える。まあ、給食そのものを食べたい欲は変わらず、持ってしまっているのだけど……(煩悩)。

もし、給食センターの調理補助や見学、単発バイトなど、何らかの形で給食に関われる機会をご存知の方がいたら、本当に教えていただきたいです。情報、お待ちしています。

Text / 池田園子

【関連本】『おいしい給食

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