4時間で叶う小旅行。山の京都

京都に来るまで、「京北」というエリアがあることを知らなかった。

京北は京都市右京区の北部、京都市内でありながら山に囲まれ、自然豊かで農業が盛んな場所だ。総面積は大阪市とほぼ同じくらいというから驚くが、そのおよそ9割が緑豊かな森林だという。私が暮らす上京区からは、バスに乗って1時間ほどで行ける。

京北を知ったのは、ご近所さんから、京北の農家さんが野菜の移動販売に来ると聞いたときだった。一度、朝の5時40分に平野神社前まで野菜を買いに行ったことがある。ご近所さんはそれを冗談めかして「早朝の闇市みたい」と呼んでいるが、その言い方はしっくりくる気がする(笑)。確か、そのときは2月。まだ真っ暗な早朝に人がわらわらと並んでいた。そこで出会った野菜をきっかけに、「京北へ行ってみたい」と思うようになった。

調べてみると、JRバスで1時間ほど。今回は、近所のわら天神前というバス停から乗り、地図上では40ほど先にある停留所を目指した。

40というと、ずいぶん時間がかかりそうに感じる。けれど、実際には乗り降りする人のいない停留所が多く、バスはほとんど止まらない。帰りも、京都の中心部に近づくにつれて各停留所に止まるようになったが、京北周辺では気持ちいいくらいびゅんびゅんと通り過ぎていった。体感では、40のうち15か所ほどにしか止まらなかったのではないかと思う。

今回の目的地は、道の駅「ウッディー京北」。京北合同庁舎前のバス停を降りて、すぐのところにある。

道の駅としては、かなりコンパクトだと思う。けれど、その中には京北で採れた野菜や農産物、地元で作られた食品がたくさん並んでいる。一つひとつをじっくり見ながら買い物を楽しめる場所だと感じた。

道の駅といえば、グルメを楽しみたい。まず食べたのは鯖寿司。京北は、京都と若狭を結ぶ鯖街道の通る地域で、鯖寿司もよく知られているらしい。それから、中に納豆が入った「納豆餅」も食べた。前に買っておいしかったので、今回も迷わず選んだ。

最後はソフトクリーム。バターナッツかぼちゃを選んだ。味噌ソフトも気になったけれど、それは次回に。しかし、このソフトが「二人分じゃない?」と思うくらい巨大で驚いた。

京北へ向かうバスは、だいたい1時間に1本あるかないか。今回は到着から2時間後に出るバスで帰る予定を立てた。途中でバスのトラブルがあり、実際の滞在時間は1時間45分ほどになったけれど、道の駅でゆっくり買い物をし、食事を楽しみ、周辺を少し歩くことができた。

京北に公共交通機関で行き、メインのエリアを巡るのみなら、滞在時間は2時間くらいがちょうどいいと思う。1時間では買い物と食事だけで慌ただしくなり、周辺を歩く余裕がなくなりそうだ。現地で2時間、往復のバスで2時間。全部合わせて4時間ほどあれば、十分に小旅行を楽しめる。

交通費は片道1,080円。往復で2,160円だった。バスは、山の中のくねくねした道を進んでいく。車で行くほうが早いのだろうけれど、バスなら運転する必要がない。景色を眺めながら座っていれば、山の京都へ連れていってもらえる。安くて、気楽で、快適だった。

朝早く、京北からやって来る野菜を買いに行ったことが、今度は自分から京北を訪ねる旅につながった。遠くへ出かけなくても、バスに1時間乗れば、日常とは少し違う景色に出会える。

京北は私にとって、京都の街なかから気軽に味わえる「山の京都」だった。4時間あれば、旅はできる。そんなことを知った、コンパクトで、おいしい一日だった。

Text / 池田園子

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