「よーじや」を初めて知ったのは、12歳のとき、修学旅行で京都を訪れた際だったと思う。
長い間、私の中でよーじやは「あぶらとり紙の会社」だった。京都のお土産として知られる、あの印象的な顔の描かれたあぶらとり紙。以来、特に気に留めることもないまま、ずいぶんと時間が過ぎた。
ところが京都に住み始めてみると、よーじやの店舗が街のあちこちにある。自宅の近くにも一軒。
「最近のよーじやって、どうなっているんだろう」
そう思って久しぶりに店へ入ってみたら、驚いた。そこはもう、私の記憶にある「あぶらとり紙の会社」ではなく、スキンケアのブランドになっていたのだ。
シャンプーに日焼け止め、ハンドクリーム、ボディクリーム。多彩なシリーズと商品が並んでいる。私がよーじやを知ってから三十年近くになる。その間に、こんなにも商品の幅が広がっていたのかと驚かされた。

ちょうど来週、人と会う予定がある。その人への誕生日プレゼントを探していたので、よーじやでいくつか商品を選ぶことにした。
その中で、自分の分まで買ってしまったのが、チョコミントの香りのハンドクリームだ。
チョコミントのハンドクリームなんて、なかなか珍しい。しかも、どうやらこの時期だけの限定商品らしい。私は、あの少し癖のある特徴的なチョコミントの香りが好きだ。
以前、サッポロビールがチョコミント味のビールを販売していたことがある。かなりインパクトのある商品だったけれど、飲んでみると私は好きだった。ただ限定品だったため、その後はなかなか出合えずにいる。
使ってみると、塗り心地も面白い。手の上ですっと溶けていき、「これで本当に保湿されているのかな」と思うほど軽い。こっくりとしたクリームではなく、ウォーターベースで肌なじみがさらりとした使い心地だ。それでも、香りは確かにチョコミント。「何これ〜?」と聞いてきたTaroに渡したら、「すごぉい。食べたくなる〜」と言ったので取り上げた(笑)。
寝る前にそれを手に塗っている。好きな香りをふっと吸い込み、そのまま眠りにつく。たったそれだけのことなのに、小さな幸せを感じる。
よーじやは、私の中では長い間、昔の京都旅行と結びついた「あぶらとり紙の会社」だった。それが今では、誰かへの贈り物を探しながら、自分のための小さな楽しみまで見つけられる場所になった。
ブランドは、時間とともに変わっていく。けれど、変わるからこそ、昔から知っている人にも新しい出合いをくれるのかもしれない。
今回選んだ商品を、贈る相手にも喜んでもらえたらうれしい。誰かのことを思い浮かべながら贈り物を選び、その途中で自分まで少し楽しい気持ちになる。やっぱり、誰かのためにする買い物は楽しい。
Text / 池田園子
【関連本】『美しいブランドのつくりかた』
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