1日1粒の贅沢と、人任せにしないこと

仕事を通じて、「SOCORA」というショコラブランドを知った。

ホームページを覗くと、並んでいるのは見た目にも美しいボンボンショコラ。一粒一粒に個性があって、とてもおいしそうだった。

気軽に買える値段ではない。普段から高級なチョコレートを買い慣れているわけでもない。それでも、「一度は食べてみたい」と思った。こういうものは、知ったときに試さないと、そのまま縁がなくなってしまう。

「選べるGiftBOX」というシリーズが気になる。自分で味を選べるのがいい。少し迷った末に、思い切って25種類が入った「選べるGiftBOX 25」を注文した。

届いた箱を開けると、小さなチョコレートが5列×5列、きれいに並んでいた。宇治ほうじ茶、ピスタチオブロンテ、キャラメルサレ、宇治抹茶、金木犀、アマルフィレモン&エルダーフラワー、ユズ、ベルガモット、マスカット……。注文するときに一つひとつ選んだ味が、そのまま箱の中に並んでいる。添えられた紙で配置を確認。25粒すべてに異なる魅力がある。……これは楽しい。

一度にたくさん食べてしまうのはあまりにもったいなく、Taroと一緒に、一日に一粒か二粒ずつ食べることにした。

ただ、初日から思わぬ事件があった。うちには、それぞれ単身で住んでいたときに使っていた冷蔵庫がふたつあり、Taroへのサプライズ目的もあり、彼の冷蔵庫の方にチョコレートを入れておいたのだ。ところが翌朝見ると、すでに開封されていて、三〜四粒食べたという(涙)。さすがに「えー! 高級チョコなんだから明日から1日1粒!」とは注意した(笑)。というのは裏話。

「どれがいい?」「好きなのを一粒取って」

紙に書かれた配置と箱の中を見比べながら選び、一粒ずつ味わう。それぞれ拙い感想を言い合う。

高価なチョコレートを25粒も買うなんて、なかなかしない買い物だった。でも一度にたくさん食べるのではなく、毎日少しずつ楽しめば、何日も幸せが続く。そう考えると、なかなか悪くない贅沢だ。

ただし、ひとつ困ったことがあった。箱の中に仕切りがないので、食べ進めるうちにチョコレートが少しずつ動き、配置を書いた紙と一致しなくなってくるのだ。

「これはベルガモットだったっけ。それともポンカン?」

ときどき、何を食べているのかわからなくなるチョコもあった。

最初は「仕切りがあればいいのに」と思った。けれど考えてみれば、仕切りをつけるにも資材が要り、そのぶん価格にも反映されるだろう。ただでさえ奮発して買ったチョコレートに、さらに立派な仕切りまで求めるのは、何か違う気がしてきた。

そもそも、紙を細く切って自分で仕切りをつくれば済む話である。メーカーに改善を求めるより先に、こちらでできることがあった。次に買うことがあれば、箱を開けた時点で簡単な仕切りを入れておこう。これは私の反省点である。

もっとも、何味かわからないまま食べて、二人で予想し合うのも、それはそれで楽しかった。

めったに買わない高級なチョコレートだからこそ、一粒を何となく口に放り込むのではなく、今日はどれにしようかと選び、紙を眺め、ゆっくり食べる。豪華なものを豪快に楽しむのではなく、ちょっとずつ長持ちさせる。仕切りが足りなければ、自分でつくる。

そんな庶民的な楽しみ方が、私には合っている気がする。

Text / 池田園子

【関連本】『魔法のボンボン・ショコラレシピ

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