出版不況の時代に、驚くほど売れている『ハルメク』という女性誌がある。皆さんは知っていますか?
『ハルメク』は、50代からの女性を主な読者とする月刊誌。書店では販売されず、定期購読によって自宅に届く。それにもかかわらず、2025年下期の1号当たりの月平均販売部数は45.9万部に達している。
その数字がどれほど大きいのか、別の人気雑誌と比べてみたい。たとえば、『週刊文春』の2026年4〜6月期における1号当たりの平均印刷部数は、約36.2万部(日本雑誌協会のデータより)。販売部数と印刷部数という違いがあって単純比較はできないものの、『ハルメク』が1号につき45万部以上売れているという数字の大きさは伝わるのではないだろうか。

そんなすごさを知ってから、私は『ハルメク』に興味を持つようになった。なぜ、それほど多くの人に読まれているのか。どのような企画があり、どのような誌面構成になっているのか。
いつだったか、病院かサロンの待合室で、一度手に取った記憶はある。ただ、書店で一冊ずつ買うことはできない。かといって、まだ40歳の私が何カ月分、あるいは一年分を購読するほど読みたいかというと、そこまでではなかった。
先日、通っている美容院で、美容師さんが置いてくれたタブレットを手に取った。楽天マガジンを開くと、画面の一番上に『ハルメク』が出てきた。こんなところに、ちょうど気になっていた雑誌への入口があったとは。ラッキー。
楽天マガジンで読めるのは、一部の号や記事に限られるみたい。それでも『ハルメク』の誌面に触れ、その世界観を味わうには十分だった。
文字の大きさや情報の配置、情報量は、シニア女性が無理なく読めるように考えられているように感じた。そして誌面の企画から、自社で開発した商品へと自然につながり、読んでいるうちに「ちょっと欲しいかも」と思わされる構成にもなっていた。
『ハルメク』は、読者の声を丁寧に集め、それを誌面や商品、講座、イベントなどへ反映していることを、強みとして打ち出している。
もちろん、読者の声を誌面に反映すること自体は、多くの雑誌が行っているだろう。ただ、ハルメクグループには、シニアマーケティングを専門とする会社や、注文受付、顧客対応、物流などを担う会社まである。雑誌を読んだ感想だけでなく、読者が何を買い、何に困り、どのような問い合わせをしたのか。そうした読者の行動や声を把握し、誌面や商品へと還元できる構造になっているのだ。
ハルメクの武器は、読者の声をよく聞くことではない。その声を集め、分析し、事業全体へ循環させる仕組みを持っていることなのだと思う。
気になっていた雑誌を、まさか楽天マガジンで読めるとは。美容院で偶然見つけた、ちょっと得した気分になる発見だった。
Text / 池田園子
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