何か新しいことを始めるとき、そのきっかけは人との会話の中にあることが多い。誰かと話しているうちに、「私、今これに興味があるんだ」「もっと深めてみたかったんだ」と気づく。自分の内側にあったものが、会話によって引き出されるような感覚。それが引き金となり、行動につながっていく。
先日、Taroと「これからやりたいことは何だろう」と話していたとき、最初に飛び出したのが「料理」だった。私は料理が好きで日常的にもしているけれど、厳密にいえば、料理を体系的に学んだことはない。
料理は好き。でも、体系的な学び経験はない
小学生の頃から母の手伝いをし、母から料理を教わってきた。大学進学を機に一人暮らしを始めてからも、基本的にはずっと自己流で料理をしてきた。
20代後半、結婚してしばらく経った頃だったと思う。一度だけ料理教室に参加したことがある。その教室は参加者みんなでひとつの料理をつくり、それぞれが工程の一部分を担当するスタイルだった。最初から最後まで自分でつくるわけではなく、「料理を習った」というより、料理教室を少し体験してみた、という感覚に近い。
昨年からは、ポルトガルの郷土料理をつくる単発の教室にも何度か参加している。こちらも、みんなで工程を分担し、先生の実演を見るスタイルなので、私が調理に携わるのはほんの一部。すべての品をつくるわけでもなく、先生があらかじめ用意してくれているものも多い。
というより、ポルトガルの雰囲気が漂う素敵な部屋で、ボルダロ・ピニェイロの食器をふんだんに使ったテーブルコーディネートを眺めながら、おいしい料理を味わい、ワインとのマリアージュをとことん楽しむことを目的に通っている(本音出た)。料理教室というより、私の認識としては「ポルトガル料理とワインの会」。でも、参加者と話していると、どうやらそういう人のほうが多い気もする(笑)。
京都の料理教室「ラ・キャリエール クッキングスクール」を体験
そんな私が先日初めて訪れたのが、京都市役所前にある大和学園の「ラ・キャリエール クッキングスクール」だ。
ここでは先生の説明を聞いたあと、一人ひとりが自分の料理を最初から最後まで自分でつくる。これまで参加した料理教室とは、そこが大きく違った。調理の途中でポイントを教えてもらったり、完成した料理を食べながら先生に質問したりもできる。これが、すごくよかった。

初回の体験レッスンでつくった2品
今の時代、とてもありがたいことに、ネットでレシピを見れば、料理そのものはつくれる。おいしくできる。でも、「なぜこの工程が必要なのか」「これをすると、どんな違いが生まれるのか」までは、なかなかわからない。資格を持つプロの先生から、その理由まで含めて教えてもらえることが新鮮だった。
参加者は、料理経験の少ない若い人が中心なのかと思っていたが、そうでもなかった。20代くらいの人もいれば、私のような中年女性も、男女を問わずシニア世代の人もいる。結婚を機にレパートリーを増やしたくて通っている人もいて、料理を学ぶ理由もさまざまだった。
大人になって料理を学ぶということ
料理は、生きている限り、ずっと使える生活の技術だ。長く自己流で続けてきた今だからこそ、一度、実践を通して学んでみたい。そう思い、全12回のコースに申し込んだ。
ラ・キャリエールは、学生証があれば年齢を問わず学割が適用される。放送大学在学中の私も、学割価格で購入することができた。なんてありがたいこと……! 毎回異なる献立の中から、自分がつくりたいもの、学びたいものを選んで通えるところもうれしい。
大人になってから、改めて誰かに教わる。そこで得たことを、できるだけ早く自分の暮らしの中で試してみる。その繰り返しが、とても楽しい。
今回もまた、人との会話が、自分でもまだはっきりと認識していなかった「やりたいこと」を引き出してくれた。人と話すことは、自分の中にある小さな芽を見つける機会にもなるのだ。
Text / 池田園子
【関連本】『きょうはこれにしよう! おうちごはん 夏のレシピ 200』
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