実家の味を、自分の暮らしへ

一年ぶりに実家に帰った。夕飯に出てきたのは、ナスと豚肉のパスタと、かぼちゃのスープだった。

パスタの味付けはケチャップがベースで、そこにブイヨンを加えたのだという。「実家で食べるケチャップ味のパスタ」というと、どこか懐かしい味を思い浮かべるけれど、思っていたより奥行きがあって、お店みたい。

もう一品のかぼちゃのスープは、牛乳がベースだった。私が普段つくらないタイプのスープで、こんな味も家でつくれるのだなと思った。

自分で毎日の食事をつくっていると、使う食材や味付けがどうしても決まってくる。人がつくってくれたものを食べると、そこから外れた組み合わせや調理法に出会える。食べてほっとするのと同じくらい、この出会いが料理の勉強になっている。

食べながら、実家のご飯はどうしてこんなにおいしいのだろうと考える。慣れた味だから、というのもある。ただ、誰かが自分のために温かいものをつくってくれたという事実が、かなり効いているのだと思う。

おいしかった、で終わらせたくない。ケチャップとブイヨンのパスタも、牛乳のかぼちゃのスープも、今度は自分の家でつくってみる。誰かの家で出会った味を持ち帰って再現すれば、その日の食事が一日で終わらずに、これからの暮らしに溶け込む。

Text / 池田園子

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