『潜入!世界の危険な刑務所』にハマる【Netflixドキュメンタリー】

Netflixオリジナルドキュメンタリー『潜入!世界の危険な刑務所』にハマっている。記者が受刑者として世界各地の刑務所に入り、そこでの暮らしを体験する作品だ。シーズン1ではポール・コノリーが、シーズン2からはラファエル・ロウが案内役を務める。

ラファエルは殺人罪で服役し、のちに無実が明らかになった経験を持つ。12年間も自由を奪われた人が、再び刑務所に入り、そこで暮らす人たちの話を聞く。その経歴を知った上で見ると、彼が受刑者に向けるまなざしにも引き込まれる。

南米パラグアイのタクンブ刑務所では、番組によると、約4000人の受刑者に対して刑務官はわずか37人。収容人数を大幅に超え、ゴミの中から売れるものを探す受刑者や、ペットボトルを皿代わりにして食事をする受刑者の姿が映る。刑務所に入った後も、お金がなければ最低限のものさえ手に入らないのかと衝撃を受けた。

過密状態にある別の刑務所では、屋根のある屋外で、コンクリートの上に寝ている人までいた。一つの部屋に70人、80人ほどが収容されているのに、ベッドで眠れるのはその一部だけ。ほかの人は床で寝るしかない。映像を見ながら「いったいどうやって全員が横になるのだろう」と思った。人間として扱われているのか、疑いたくなるような光景だった。

中南米ホンジュラスのダンリ刑務所でも、約700人の受刑者を15人の刑務官が見ているという。受刑者の中には「世話役」のような立場の人がいて、刑務官とのやり取りや夜の見回りにも関わる。マットレスを買えなければ床で眠るしかない一方、家族や恋人が頻繁に面会に来られ、泊まることもできる。厳しい環境の中で、受刑者同士の役割や外にいる大切な人とのつながりによって、どうにか秩序を保っているように見えた。

そんな刑務所を見た後で、ノルウェーのハルデン刑務所が登場すると、同じ「刑務所」という言葉を使っていいのかと思う。清潔な居室があり、買い物ができる場所もある。大切にされているのは、受刑者ができるだけ「普通の生活」を送ることだという。

デンマーク自治領グリーンランドのヌーク厳重警備刑務所には、また違う意味で面食らった。きれいな個室があり、受刑者たちが自分で料理できるスペースもある。映像だけなら、シェアハウスのようにも見える。インターネットにはつながらないものの、家族に電話をかけられる携帯電話も渡される。通話は監視されているというが、外にいる大切な人と話せることは、受刑者にとって大きいのではないかと思った。

受刑者が刑務所の外へ働きに行くことも認められているという話には、いちばん「えー!?」となった。「厳重警備刑務所」という名前から思い浮かべた姿とはあまりに違う。調べてみると、ヌーク厳重警備刑務所ができる前から刑務所制度は解放的で、会社や学校など「外」に通う人は少なくないらしい。

その一方で、別の刑務所には、狭い独房で一日のうち22時間以上を過ごし、ほとんど誰とも話せない受刑者もいる。同じように自由を奪われても、食事をする場所、眠る場所、人と話せる時間はこれほど違う。その違いが、どの国で、どの刑務所に入るかによって決まることにも考え込んでしまう。

もちろん、施設がきれいでも、自由を奪われていることに変わりはない。むしろハルデン刑務所やヌーク厳重警備刑務所を見ていると、自由を奪うこと自体が罰であるなら、生活まで人間らしさを極端に失わせる必要があるのか、という問いが浮かんでくる。

更生目的のプログラムや宗教との出会いが、人をどれほど変えるのかは簡単にはわからない。でも、安心して眠る場所があり、食事をするための皿があり、人と話せることは、その手前にある基礎基本だと思う。

私は日本の刑務所に詳しいわけではない。それでもこの作品を見るたび、自分が思い描いていた「刑務所」が、数あるあり方の一つにすぎなかったと気づかされる。受刑者がどんな環境で育ち、どんな社会からここへ来たのかにも触れられるので、刑務所を通して、その国のことまで少し見えてくる。

罪を犯した人を社会がどう扱うのか――その選び方に、国の考え方が表れているのが興味深い作品だ。

Text / 池田園子

【関連本】『囚われし者たちの国』

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