ブックレビュー

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ここまではOK、ここから先は

人との関係に、線を引く、ということがある。はっきりとした決裂があるわけでもない。喧嘩をしたわけでも、裏切られたわけでもない。ただ、心のどこかで「あ、ここから先は交わらないな」と、はっとする瞬間。たとえば、仕事で関わっている人がいるとする。距...
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世界を少し単純にしてみる

「シンプルに生きたい」と、私はずっと思っている。余計なものを持たず、考えすぎず、迷わずに生きたい。できる限り。けれど現実は、そう簡単ではない。感情が入り込んだり、状況に引きずられたり、ときに「すぐやる」を先延ばしにしてしまう自分がいる。そん...
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全部は書かない。それが記録になる

『巨人のノート』。タイトルだけで、思わず手に取ってしまう本です。この本を書いたのは、韓国の記録学者、キム・イッカンさん。彼が一貫して伝えていることは、とてもシンプルでした。「とにかく、記録しよう」。ただし、それは「正確に」「全部を」「一言一...
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姿勢から考える身体のケア。生きてる間、自由に動きたいから

「姿勢悪い人、多くない?」年始にTaroと地元を歩いていると、北野天満宮や平野神社への参拝客で、夏の大文字の時期と同じくらいの人出でした。これほど多くの人を一度に見るのは久しぶりで、そこで私はギョッとしたんです。背中が丸まり、首が前に折れ、...
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相手の「うれしい」から逆算する伝え方

「イケてない伝え方をしてしまったなあ……。どう言えばよかったのだろう」。1日を振り返り、伝え方について改善策を考える日があります。『伝え方ひとつで変わるわたしの毎日』(Emi)はそんな自分に必要な1冊でした。本書で一貫して語られているのは、...
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「自分時間」を先に確保するという選択

昨年に続き、相変わらず「時間」への興味が尽きません。先日は佐藤優さんの『残された時間の使い方』を読みました。現代を生きる私たちが、自分の時間をどのように捉え、どう使っていくべきなのかを深く問う1冊です。佐藤さんは慢性腎不全の悪化により、約1...
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加害と被害の境界が溶け合う。葉真中顕『家族』を読んだ

葉真中顕さんの最新作『家族』を読みました。本作は、平成を代表する凄惨な事件として広く記憶されている「尼崎連続変死事件」を下敷きにしたフィクション。多くの人物が“家族”として複雑に絡み合う構造は、あの家族乗っ取り監禁事件が持つ異様さそのもの。...
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“理由”がなくても機嫌のいい人に。

Amazonのおすすめに出てきて知った『運転者』(喜多川泰)。2019年刊行の本ですが、自分に必要だと感じる内容で、昨今のレコメンド機能の精度に恐怖をおぼえるほど。書店での出合いに近づいている感覚すらあります。本作が伝えるのは「機嫌よく生き...
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犬・猫好きも文学好きも楽しめる『文豪と犬と猫』という幸福な1冊

『文豪と犬と猫 偏愛で読み解く日本文学』は、日本文学を愛するふたりの作家(犬派の文芸評論家・宮崎智之さんと、猫派の文筆家・山本莉会さん)による往復書簡形式の評論集です。夏目漱石、内田百閒、志賀直哉など、文豪たちが犬や猫をどのようなまなざしで...
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封じた記憶が呼び覚まされた。『YABUNONAKA』が開いた扉

『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』(金原ひとみ)を読みました。本作は、10年前の性加害告発をきっかけに、複数の人物がそれぞれの視点から出来事を語る群像劇です。ある女性が「10年前に性加害を受けた」と声を上げたことで、加害者となった男性や...