「イケてない伝え方をしてしまったなあ……。どう言えばよかったのだろう」。1日を振り返り、伝え方について改善策を考える日があります。『伝え方ひとつで変わる わたしの毎日』(Emi)はそんな自分に必要な1冊でした。
本書で一貫して語られているのは、「自分の主張を伝えるときには、相手にとってうれしいことを必ずセットにする」という考え方です。やりたいことや提案をそのまま差し出すのではなく、「それをすることで、あなたやその先にどんな良いことがあるのか」を添える。それだけで、言葉の届き方は大きく変わるのだと教えてくれます。さらに「明るい言葉」を選ぶことの大切さも繰り返し説かれ、「〜〜すると、こんな可能性がありますよ」と未来のうれしい変化を描くことで、相手の心がやわらかくなる感覚が伝わってきます。
伝える前に、「この人はいまどんな立場で、何を大事にしているのだろう」と一度立ち止まって考えることの重要性も語られます。相手の役割や状況を思い浮かべるだけで、相手にとってのメリットを探す視点が自然と生まれ、伝え方が一方通行ではなくなるのは確か。仕事で新しいやり方を提案するときも、家族に買い物の相談をするときも、「あなたにとって、こんな良さがあります」と添えてみる。そんな具体的なシーンがいくつも紹介されていて、読みながら自分の日常の場面とシンクロしました。

また、謝罪や指摘といった気を使う場面についても丁寧に触れられ、「どう伝えるか」によって関係性は守れるのだと実感します。ひとさじの工夫をふりかけるだけで、相手を傷つけずに、自分の思いもまっすぐ届けられるのです。
装丁や各ページのデザインも美しく、ページをめくるたびに編集者としても気づきや学びがありました。さすがEmiさんの本だなと感じる、細部まで妥協のない1冊だなあと。
誰かに何かを伝えるとき、そこには必ず目的や願いがあります。相手にこうしてほしい、これはしてほしくない――そんな思いが、言葉の奥にひそんでいます。この本は、その願いを「相手にとってうれしい形」に変換するためのヒントを、Emiさんならではの温かな言葉で手渡してくれます。伝え方を変えることは、相手を変えることではなく、自分の在り方を整えることなのだと、読み終えたあとに深く実感しました。
Text / 池田園子
【関連本】『伝え方ひとつで変わる わたしの毎日』
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