全部は書かない。それが記録になる

巨人のノート』。タイトルだけで、思わず手に取ってしまう本です。

この本を書いたのは、韓国の記録学者、キム・イッカンさん。
彼が一貫して伝えていることは、とてもシンプルでした。

「とにかく、記録しよう」。ただし、それは「正確に」「全部を」「一言一句」書くことではありません。

むしろ、たくさん書かないこと。それ自体が、記録の技術なのだと、著者は言います。

重要なのは、多くの情報の中から、ポイントを抜き出す視点。ここで出てくるのが、「要約」という考え方です。

「要約とは、記憶を圧縮し、新たに創造すること」。著者は、要約をそう定義しています。

情報を削るだけではありません。自分が見たこと、聞いたこと、感じたことを、頭の中で転がしながら、ぎりぎりまで短い言葉にする。
そうして残った一言だから、キーワードを見ただけで、記憶として立ち上がってくる。

この本では、こんなことも語られています。

「書かれていた言葉を、そのまま使わなくてもいい」

むしろ、自分の語彙で言い換えられたなら、それはもう、落とし込めている証拠。

引用ではなく、翻訳。他人の言葉を、自分の言葉に変換する。
それができたとき、その知識は「情報」ではなく、「自分のもの」になる。

この考え方は、著者の読書記録の方法にも、はっきり表れています。

一章を読み終えてから、ノートを開く。そのときに書くのは、本に書いてあった文章ではありません。いま、自分の頭に残っている言葉です。

これを真似してみると、想像以上に難しい。

「すごく大事な言葉が書いてあったはずなのに」
「あのとき、ハッとした表現が出てこない」

実際にやってみて、何度も手が止まりました。
だから私は、目次を見ながら、記憶をゆっくり呼び戻しています。

それでもいい。むしろ、その思い出そうとする過程こそが、記録の核心なのだと思います。

学びに関する本については、しばらくこのやり方を続けてみよう。そう決めました。

『巨人のノート』で紹介されているこの記録の方法は、著者が25年以上にわたって続けてきたものです。
私は、続けてきて、結果を出している人のやり方を信じたい。

派手じゃなくていい。効率的じゃなくてもいい。ただ、確実に、自分の血肉になっていくやり方。

しばらくは、このノート術でいこうと思います。
さて、今日、私のノートには、どんな言葉が残るでしょうか。

Text / 池田園子

【関連本】『巨人のノート

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