Amazon Primeで、気になる作品を少しずつ観ています。
身支度をしながら。洗濯物を干しながら。ひとりでお昼ごはんを食べながら。
ささやかな楽しみです。
先日見終えたのがドラマ『夫よ、死んでくれないか』。
なんて強いタイトル。一度聞いたら忘れない。
これ、原作は以前読んだことがあるんです。でもドラマは未視聴でした。
キャスティングがいい。
安達祐実さん、相武紗季さん、磯山さやかさんのトリプル主演。
みんな、妻。彼女たちの夫はそれぞれ問題児です。
なかでも印象に残ったのは、磯山さん演じる友里香のエピソード。
彼女の夫は、いわゆるモラハラ気質。威圧的で、言動が最低な夫。ところが、ある出来事で頭を打ち、一時的に記憶障害になる。
そこで彼女が放った言葉が、「育て直す」。
「育て直す」って。
大人を? 夫を?
でもその響きが、妙に面白くて、妙に力強かったのです。
彼女は言うのです。
「一から叩き直す」と。
「いい夫に改造する」と。
もちろん、現実でそんなことが簡単にできるわけはない。大人は完成品のように見えて、頑固で、なかなか変わらない生き物です。
それでもドラマのなかで、夫は少しずつ変わっていく。
「こうしてくれると、私は嬉しい」と伝えられ、「それは嫌だ」と線を引かれ、少しずつ、少しずつ。

それを見ながら、自分の生活に引き寄せて考えていました。
相手を変えるのは難しい。本当に難しい。
でも、「気づいてもらう」ことはできるのかもしれない。
そして、気づいた人は、変わる可能性がある。
うちでは家事の9割以上を私がやっています。家にいる時間が長いし、嫌いではないから、ごく自然に。
けれど最近、Taroが自分がお風呂を出る前に、風呂掃除をしてくれるようになりました。
最初は、たまたまでした。
そのとき私は伝えました。
「やってくれたんだ。ありがとう!」
「Taroいい子!」
「助かるねえ」
すぐに。その場で。
すると彼は言いました。
「Taro、明日もやる。すぐ入れたほうがいいでしょ?」
それから、数日続いています。
私はいつも夕食後にお風呂を洗っていました。そこからお湯を張る。
3分もかかりませんが、その一手間がなくなると、ちょっとうれしい。
それに気づいてくれたのは、彼自身です。
私が「助かる」と言ったことで、「これは意味のある行動なんだ」と思ってくれたのかもしれません。
変えた、ではなく、気づいてくれた。
たぶん、それがいちばん大きい。
結局、人は自分で気づかないと変われない。
でも、気づくきっかけを渡すことはできるのかもしれない。
ドラマのように、記憶を失って別人格レベルで改造されるのは、さすがにサスペンスですが。でも、あの「育て直す」という言葉には、どこか希望がありました。
ちなみに、逆はどうなのでしょう。
『妻よ、死んでくれないか』となると、少し空気が変わりそうだなあとも思います。
数年前、「旦那デスノート」というSNSが話題になったことがありました。
当時は、「そんな場所があるんだ」と少し驚いた記憶があります。
思えば、「夫に死んでほしい」と願う系の作品は、意外と多い気がします。
『夫を社会的に抹殺する方法』もそうですし、ドラマや小説のなかでは、夫が追い詰められたり、断罪されたりする役回りをよく見かけます。
もちろん、それは現実の願望というより、日々の鬱屈や理不尽をフィクションのなかで安全に昇華しているからなのだと思います。
それでも、物語のなかで「また夫側が試されているな」と感じる瞬間があります。
どうやらフィクションの世界では、夫という存在は、感情の受け皿として描かれやすいのかもしれません。
サスペンスなのに、どこか生活の匂いがする。
だから、気づけば数日で見終えていたのかもしれません。
Text / 池田園子
【関連本】『夫よ、死んでくれないか』
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