粕汁という、日常のごちそう

1月のある日。「日本酒サロン 粋」に立ち寄ったときのことです。そこでいただいた粕汁が、驚くほどおいしくて。

「粕汁って、いいなあ」

身体の奥までじんわり温まるような、やさしくて、どこかクリーミーな味わい。その一杯をきっかけに、わが家では粕汁をつくるのが定番になりました。

いろいろなレシピを見比べると、だいたいの目安は酒粕と味噌が3:1くらい。大きな鍋で数日分つくるとしたら、酒粕100gに対して、味噌は30gほど。小鍋で少なめにつくるときは、酒粕を大さじ3、味噌を大さじ1ほど。

味噌は控えめにして、酒粕の甘みと香りを主役にする。どうやら、それが定番のようです。

家でつくる粕汁は適当で、具材は、自由。人参や大根といった定番野菜に、きのこをたっぷり。冷蔵庫にもやしが余っていれば、それも入れる。ある日は、少し贅沢に牡蠣を入れたこともありました。

酒粕は、たんぱく質や食物繊維、ビタミンB群を含む発酵食品。腸にやさしく、身体を内側から温めてくれる感覚。何かを「足す」というより、「整えてくれる」食材だと感じています。

酒粕を少し加えるだけで、ベーシックな汁物が、「ごちそう感」のあるスープに早変わり。これはもう、特別な料理というより、日常使いしていいものだな、と思うのです。

酒粕は、手に入りやすいのも魅力です。近所の酒店「高島商店」では、100g100円で量り売り。スーパーでも、500gで300円前後だった気がします。

仮に100g使って、たっぷりつくったとしても、材料費はワンコインくらい。それで家族ふたり、3日くらい楽しめるのですから、コストパフォーマンスも申し分ありません。

この冬、私はすっかり酒粕料理にはまっています。でも、これは冬限定じゃない。季節を問わず、定番としてつくりたくなる味です。

「酒粕って、こんなに便利だったんだな」

そんな発見をくれた一杯に、静かに感謝しつつ。

Text / 池田園子

【関連本】『毎日使える酒粕のレシピ

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