音声入力が、急に先生になった日

ある日、ちょっとした「スマホの気まぐれ」から、新しい習慣が生まれた。PCだけでなく、スマホで音声入力をよく使っている。思いついたことをそのまま打ち込めるあの感じが好きで、もう入力だけの生活には戻れないな、と思っている。

ただ、ひとつだけ小さなトラップがある。ときどき、キーボードが英語モードになっている。そのまま日本語で話すと、画面にはアルファベットの謎の羅列が並ぶ。ちょっとした暗号だ。「あ、英語になってる」と気づいたら、いつもは何も考えずに日本語に戻していた。

でも、あの日は違った。ちょうど英語でやりとりしている相手にメッセージを送ろうとしていたときだった。――あれ、待って。これ、そのまま英語で話せばいいんじゃない? 試しに「Good morning」と言ってみると、ちゃんと英語で入力される。おお。当たり前なんだけど、ちょっとうれしい。

そして、もうひとつ気づく。これ、発音がある程度よくないと認識されない。つまり、スマホが私の発音を採点してくる。手のなかに、急に厳しめの先生が現れた感じだ。

最近、シャドーイングや音読をしているし、日常でもご近所の英語話者には英語を使っている。その成果が、ここで試されるわけだ。しかも、容赦なく。なんだか面白くなってきて、別の使い方も始めた。普段、英語のまとまった文章を送るときはGoogle 翻訳を使っている。日本語で書いて英語に変換して、それをチェックしてから送る。でもそれを見ながら、音声入力で打ち込むようにしてみた。つまり、できあがった英文を自分の口で再現して、スマホに認識させる。

例)heaviestと発音したつもりが、happiestになった。それはそれで幸せそうな箱でよい

これが、思った以上にいい。「あれ、この発音だと通らないんだ」「ここ、ちゃんと区切らないと伝わらないんだ」「何この誤変換、いやこれ私の発音か」そんな小さなズレが、はっきり見えてくる。ちょっとした答え合わせみたいで、楽しい。

思えば、いつもならただの「設定ミス」で終わっていた英語モードが、こんなふうに使えるとは思わなかった。スマホの気まぐれが、学習ツールになる。生活のなかで出会う、こういう「たまたま」は、なんとなく得した気分になる。

Text / 池田園子

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