面白い場所に連れて行ってもらった。京都の人気餃子店「夷川餃子なかじま」。その一角に、サウナがある。
店の正面から見ると、どう見ても餃子専門店。町の中華料理店、と言ってもいい。ところが、この店は、奥へ、奥へと進んでいくと、世界が変わる。
現れるのは、「ぎょうざ湯」。餃子店に併設された、貸切制のサウナ付き銭湯である。

中には、天然水の水風呂と、セルフロウリュができる本格的なサウナ。中庭には外気浴スペースがあり、椅子も用意されている。利用は2名から、同性のみ。完全予約制で、80分の入れ替え制。
つまり、サウナで整ったあと、餃子を楽しめるということ。この「サウナ→餃子(とビール)」という流れを考えた人は、きっと天才だと思う。
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サウナのお作法は、丁寧に教わった。
まずは身体と頭を洗い、全身の水気をきれいに拭き取ってからサウナ室へ。こうすることで、サウナ室を濡らさずに済むし、どれだけ汗をかいたかも分かりやすいという。これは、温泉施設のサウナに、なんとなく入っていた私のやり方とは、まったく違っていた。

サウナ室を出たら、シャワーを浴びてから水風呂へ。水風呂は深く、肩まで浸かれる。
いつもなら一瞬で上がってしまうところを、この日は少しだけ長めに入ってみた。上がった瞬間、じわっと、皮膚の表面に熱が戻ってくる。細かな網目のように、熱が全身に広がっていく感覚。初心者なりに、「ああ、これか」と、水風呂の気持ちよさをぼんやり理解した瞬間だった。
外気浴スペースには露天風呂と椅子があり、そこで身体を休める。
タオルは2枚持っていくのがいいらしい。1枚は頭や髪を熱から守るため。もう1枚は、身体の気になる部分を覆うために。サウナ愛の深いおねえさんから聞いたこの知恵は、初心者には本当にありがたかった。
そして、思いがけない発見もあった。乳首が、少しヒリヒリするのだ。左右差の理由は分からないが、なぜか右だけ特に感じる。
一瞬、何か異変だろうかと思ったけれど、乳首は皮膚が薄く刺激に敏感な部分で、サウナの熱や汗、水風呂との温度差によって、ヒリつきを感じることがあるのだと教わった。
サウナは、身体を温めるだけでなく、普段は意識しない身体の声に気づく時間でもあるのかもしれない。
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サウナの良さは、余計なものを何も持たずに、自分の身体と向き合えることだと思う。
タオルだけを持って、裸で過ごす時間。そこでは、穏やかな会話が生まれる。
そのあとの餃子ランチも、忘れられない。サウナの途中から、じわじわと空腹感がやってきて、「このあと餃子だ」と思うだけで、もう楽しかった。
私は思った。「こういうお店、他にあるだろうか?」

餃子屋さんの奥にサウナがあって、サウナのあとに、何事もなかったかのように餃子を食べる。
服を着たり、脱いだり。熱くなったり、冷えたり。その切り替え全部が、ひとつの体験になっている。
こういう場所は、たぶん、最初から探しても見つからない。誰かの「好き」に連れられて、ついていった先に、ぽつんと現れる。
だから私は、これからも、相手の「好き」の話を聞いていたい。そして、気になるお誘いには、かろやかに乗ってみようと思う。
思いがけない世界は、たいてい、そういうところに静かにひらいている。

THREEのスキンケアアイテムが常備されているのがうれしい
Text / 池田園子
【関連本】『AI時代のソーシャル・サウナ』
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