恋愛に向いてない、ってどういうこと

「自分は恋愛に向いてない」という言葉を、見聞きしたことが何度かある。
そのたびに、なんとなく考え込んでしまう。恋愛って、向き不向きで語るものなんだろうか、と。

そう思うのはたぶん、自分も同じ言葉を使っていたからだ。好きだった人とうまくいかなかったとき、私は「恋愛に向いてない」と言っていた。あれは、落ちるところまで落ちたあと、なんとか自分を引き上げるための言葉だった気がする。

でも今振り返ると、それはただ一つ、その人にとって私は違った、ということだったのかもしれない。言い換えれば、ただ、矢印がそろわなかっただけ。それだけのことを、「向いてない」という言葉で、大きくまとめてしまっていたのかもしれない。

母に言われたことがある。「自分を大事にしてくれる人を大事にしなさい」と。今は、その意味がよくわかる。恋愛は、どうしても、一方通行では続かない。

もちろん、自分が大事にしたい人を大事にすること自体は、悪いことではない。たとえ同じ温度で返ってこなかったとしても、その気持ちまで否定されるものではないと思う。ただ、それが「恋愛」になるかどうかは、また別の話で。

昔、パートナーがいた頃、別の人に「勝手に好きでいていいですか」と言われたことがある。何かを求められるでもなく、今ある関係を崩そうとするでもなく、ただ、その人は「好きでいる」ことを選んでいた。
あのときは少し不思議だったけれど、今思うと、あれもひとつの在り方だったのかもしれない。

恋愛には、いろんな距離の取り方がある。両想いになることだけが、すべてではなくて、好きでいることを選ぶ人もいれば、手放す人もいる。

そう考えると、「向いている・向いていない」というより、誰と、どこで、どう重なるか、みたいなことのほうが近い気もする。

もしかすると、「向いてない」という言葉を選ぶよりも、たまたま、その人とは、矢印が重ならなかっただけ。そう言ったほうが、しっくりくるのかもしれない。

恋愛って、たぶん、タイミングとか、相手とか、そういうものにずいぶん左右される。だとしたら、「向いてない」と言い切ってしまうのは、少しだけ、もったいない気もする。

Text / 池田園子

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