
駄菓子屋さん——小学生の頃、500円玉を握りしめて行けば、両手いっぱいになるほどのお菓子を買えたあの場所は、いまや街の中の希少な風景です。
先日のクリスマスイブ、藤井大丸の並び、寺町通に店を構える「船はし屋」に立ち寄りました。ご近所さんになった米国出身の子どもたちへのクリスマスギフトに駄菓子を、というのはTaroのアイデアです。
どう見ても昔ながらの駄菓子屋さんで、おばちゃんの私も思わずテンションが上がります。腰の曲がったおじいさんとおばあさんが切り盛りされ、「年々営業時間が短くなってね」と笑って話される姿が忘れられません。特におじいさんはお身体の節々がつらそうなのに、駄菓子ファンのために今日も店を開けてくださっている、そんな空気が漂っていました。
1,000円ちょっとで袋いっぱいの駄菓子が買え、15円という驚きの値札も珍しくありません。調べてみると、駄菓子メーカーは原材料や包装、人件費を極限まで抑え、1個あたり1〜3円ほどの利益を、数千万個という圧倒的な量産で積み上げているそうです。駄菓子屋さんも仕入れは10円前後、1個3〜5円の薄利。家族経営や持ち家という条件のもと、「儲ける」よりも「続ける」ために成り立っている世界なのだと知りました。
駄菓子をラッピングして彼らの玄関先にそっと置き、親御さんにLINEします。「外に置いたよ。明朝、子どもたちにプレゼントしてね」。すぐにお礼のメッセージが届き、翌日ばったり会うと、上の子は朝ごはんに完食したとのこと。お母さんは苦笑していましたが。
とてもささやかなギフトですが、誰かが喜ぶことにお金を使うのは、やはり気持ちがいい。「日本文化の勉強にもなると思うよ。気になったら行ってみてね」と店名と場所も伝えました。相手の笑顔や新しい発見につながるなら、それはとても価値のある買い物なのだと、しみじみ感じています。
Text / 池田園子
【関連本】『日本懐かしお菓子大全』
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