特定の音楽家を熱烈に応援し、“海外遠征”にまで行く、いわゆる推し活をしている年上女性から、「池田さんも推しがいると人生楽しいよ」と言われました。
その方が指しているのは、世の中で一般的に言われる「追いかけるタイプの推し活」です。『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ)で描かれているような。
たとえば公演に足を運び、情報を追い、時間もお金もその存在に注ぎ込むというような関わり方です。その姿はとても楽しそうで、確かに人生を豊かにしているのだろうと思います。
一方で、その話を聞きながら、「私はそういう追いかける形の推しがいなくても、十分に楽しく生きているなあ」と気づきました。
かつては、私にもいわゆる「推し」のような存在がいました。
プロレスや相撲に夢中だった頃には、特に惹かれるレスラーや力士がいて、現地に足を運んでいました。遠征もすれば、後援会に入っていた時期もあります。あの頃の私の行動は、まさに推し活と呼べるものだったと思います。
しかし、コロナ騒動による声援禁止やマスク必須の観戦スタイルをきっかけに、現地から遠ざかり、そのまま自然と距離が空いてしまいました。推しの名前を呼びたい・声を届けたい→それができないなら行かない。そうなってしまいまして。
同じエンタメでいうと、小説との付き合い方も似ています。
好きな作家は何人かいますが、その方々の作品をすべて買うわけではありません。作品ごとに合う・合わないがあり、映画も本も、気になるものだけを味わう――つまみ食いのような楽しみ方です。

ところが最近、私は別の形で「推し」を持っていることに気づきました。それが、仕事を通じて自然と生まれている推しです。
ご縁あって2023年の秋からご支援をさせていただくなかで、学校やチームそのものを応援したいという気持ちが、自分の内側に根づいていました。
学校の中核に立ち改革を進めるリーダーの情熱や遂行力、巻き込み力、そしてスピード感ある動きに魅せられました。さらに、生徒や地域の方たちの声を聞くなかで、「なんて面白い学び場なのだろう」と感じるようになりました。
サッカー部についても同じです。選手たちはもちろんのこと、監督を中心とした指導陣の思い、ビジョンや価値観がチーム全体に浸透し、強い集団が形づくられている。その在り方そのものに、私は心を動かされています。
仕事として関わりながら、同時に一人の人間としても、「この学校、このチームを近くで見続けたい」と思える存在です。
また、2023年末からnoteの一部をご支援しているコウダプロという企業も、私にとって同じような存在です。毎月一度、社長の想いとメンバーの声が聞ける朝礼に参加し続け、気づけばもう2年が経ちました。会社の変化を、断片的ながら見させていただいています。
代表的な製品である「アスガール」を一度飲んで気に入り、購入し、大切な人に「おすすめ」として手渡し、その会社のこれからを見ていたいと思う。これもまた、仕事を通じて生まれた推しなのだと思います。
今の私は、特定のアーティストやアイドルを熱狂的に追いかける、一般的に言われる推し活とは無縁です。プロレスや相撲に熱中していた時代に、その楽しさは十分に味わいました。もっとも、プロレスや相撲も思わぬ形でのめり込んだので、これから何がきっかけで、また何かにどっぷりハマるかは分かりませんが……。
その代わり、今の私は、仕事を通じて出会った会社や組織、人の姿勢や思いに心を動かされ、自然と応援したくなる存在を持ちながら生きています。
私は、追いかける推しから、共に歩む推しへと、静かに形を変えただけなのだ――そんなふうに思えるようになりました。
Text / 池田園子
【関連本】『イン・ザ・メガチャーチ』
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