固定費を上げない生き方——家賃から考えたこと

賃貸暮らしをしています。
だからこそ、日常にある大きなコスト、家賃についてふと考えることがあります。

いくらなら払えるか、いくらまでなら払ってもいいか――。
数字を思い浮かべながら、自分の暮らしの形を探るような時間です。

賃貸暮らし歴は20年になりました。
大学の4年間は親や祖父母が負担してくれましたが、23歳から39歳の今まで毎月払ってきた家賃。

16年×12ヶ月=192ヶ月も淡々と。同棲・結婚していたときは元夫が払ってくれていたので、正確には168ヶ月くらいでしょうか。

振り返ると、一番高い家賃を払っていたのは20代半ばの頃でした。
エリアは学芸大学で、確か11万5,000円ほど。会社から2〜3万円の家賃補助があったからこそ叶った額です。

その後も東京で暮らし、元夫との別居〜離婚後も新富町にある11万円くらいの物件に。
最後に住んだ東京の部屋は、ネット利用料込みで10万2,000円。1DK、約40㎡、駅から徒歩2分。条件を考えれば「むしろ安い」と感じる物件でした。

そんな東京を離れ、福岡へ引っ越したのは30代後半のこと。
引っ越しに合わせてものを大幅に減らし、27㎡ほどのワンルームに移りました。家賃は6万2,000円と、大学生時代のそれに近い金額に。

家賃が月10万円を超えると、年間で120万円以上のコスト。
一方、6万2,000円なら約75万円。
その差は年間でおよそ50万円。
10年単位で考えると500万円の差に。
数字にすると、その大きさを実感します。
「無闇に固定費を上げない生き方をしよう」と決めた時期でした。

福岡での暮らしで分かったのは、私には広い部屋は必要ないということ。
適度な広さのクローゼットさえあれば、27㎡でまったく困りませんでした。
むしろ小さな空間の方が暖房・冷房効率もよく、掃除も5分ほどで終わり、手を伸ばせば何でも届く。暮らしがとても身軽になったのです。

その後、大阪の豊中市に引っ越しました。
猫を迎えることになり、ペット可物件にしたことから家賃は約9万円に。
猫空間と寝室を分けたいため、1LDKを選びました。
でも、自分ひとりならワンルームで十分。ミーティングでシンプルな背景が映る位置にデスクを置けさえすれば、それで事足ります。今は本も電子書籍中心になり、ものはさらに減りました。

そして、京都へ。今の家は家賃17万3,000円。
これはひとりで持続可能な金額ではありません。
自分の家賃遍歴からいっても、今の「固定費を上げたくない」思想からいっても、ひとりではあり得ないコストです。
ふたりでルームシェアしているから、ひとりあたり8万6,500円で許容範囲にある、といえます。それでも安くはないと感じますが、ペット可であり、各自の個室とは別に仕事部屋を確保した結果の金額です。
もしペットがいなければ、各自の個室は必要ですが、もっと小さな物件でOK。

家賃は、毎月確実に出ていく固定費です。
しかも将来的に自分のものになるわけではない。
だからできるだけ抑えたい。それでも、あまりにも古く不便な家には住みたくない。
この「ほどよいところ」を探すのが難しい。

若い頃は、おしゃれな家具や広い部屋に憧れていました。
でも、いろいろな部屋を経験して分かったのは、私にとっての快適は必ずしも広さや豪華さと比例しないということ。
むしろ、6万円台のワンルームで十分快適に暮らせる――その事実が自分の中に深く刻まれました。福岡のその部屋が築16年程度にもかかわらず綺麗で、住人も静かな人ばかりで、相当に恵まれていた、というのはあるけれど。

大人になって、学生時代のような小さな部屋に戻るとは思いもしませんでした。
けれど、それは後退ではなく、むしろ「本当に必要なもの」を知った結果です。
望みすぎず、身の丈に合ったサイズで暮らすこと。
それが、今の私の選択です。

もしいつか自分ひとりになったときも、迷わず小さな部屋を選びます。
ワンルームか1DK、1LDKで、6〜7万円台が理想。

「広い部屋じゃないと住めない」ではなく「小さい部屋に住みたい」マインドを持てている自分をいいなと思っています。

Text / 池田園子

【関連本】『マダムたちのルームシェア

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