昨年に続き、相変わらず「時間」への興味が尽きません。先日は佐藤優さんの『残された時間の使い方』を読みました。現代を生きる私たちが、自分の時間をどのように捉え、どう使っていくべきなのかを深く問う1冊です。
佐藤さんは慢性腎不全の悪化により、約1年半の人工透析を経て、2023年に妻をドナーとする腎移植を受けました。8年ほどと考えられていた余命は、移植によっておよそ20年という見通しになったといいます。その経験を通して、残された時間の有限さと向き合いながら、自分の使命や時間の使い方を改めて見つめ直すようになったそうです。
本書では、人生の時間そのものを哲学的に捉え直す視点も語られています。たとえば、西洋的な時間観は直線的で、生から死までを一方向の流れとして捉えるため、目標を定めて達成に向かう生き方と相性がよい。一方、東洋的な時間観は円環的で、時間が巡るという感覚が強く、終わりや期限を意識しにくい。この両者を融合させて生きることが、現代人には求められているのだと佐藤さんは伝えています。
読みながら特に考えを深めたのが、「自分時間」と「他人時間」という区別です。他人時間とは、仕事や家族への対応など、自分が100%自由に使えない時間のこと。対して自分時間とは、自分の学びや集中したい活動に使える、まさに自分のための時間です。

自分時間は、内省や自己成長、真に価値のある学びのために使われるといい、と佐藤さんは言います。同感しかありません。しかし、働かなければ食べていけない社会で生きている以上、他人時間が優先され、自分時間は後回しになりがちです。その結果、自分の時間が極端に少なくなり、失われていく――私たちはそんな構造のなかにいます。そこで著者は、自分時間を「後で取るもの」ではなく、「先に確保しておくもの」としてスケジュールに入れることを勧めています。
仕事の締切や今週やるべきタスク、会議や会食といった他人との約束の時間をブロックすることも大事です。ただ、その隙間に自分時間を押し込もうとしている限り、深い内省の時間は取りづらくなります。だからこそ、最初に「自分時間」を予定として入れておく。この視点を持てるかどうかが、時間の質を大きく左右するのだと強く感じました。
自分時間は意識的に確保しなければ、他人時間に流れていってしまう――そんな当たり前の事実を、淡々と突きつけてくれる内容でした。
Text / 池田園子
【関連本】『残された時間の使い方』
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