一本でも多く、はじめての道を歩きたい

「一本でも多く、まだ歩いたことのない道を歩きたい」。移動中、こんな欲求を抱えています。変でしょうか。変かもしれません。

でも、ひとつとして同じ通りはなく、近所にすら足を踏み入れたことのない道があるからこそ、「歩いて体験」したくて仕方ないのです。

ルーティンと化したジム通いや買い物などでも同様です。同じ道を何度も歩くうちに「飽きた」と感じることがあります。ジムなんて毎日行っているので、飽きないわけはないのかもしれないですが。

とはいえ、毎回道を変えるのは難しく、よく行く目的地へのルートはだいたい同じになってしまいます。それでもできる限りいろいろな道を歩いて「一度は歩いた」道をスタンプラリーのように増やしています。

散歩の途中で、パートナーのTAROに「この道はもう飽きた! 違う道で帰りたい」と駄々をこねて呆れられることもあります。彼は私の飽きっぽさを知っていて、その扱いは手慣れたものです。先んじて気を回してくれることもあれば、要望に合わせてくれることもあれば、逆にスルーされることもありますが。ただ、これは気まぐれや相手を振り回したいという意図のもとではなく、できる限り知らない道を歩きたい欲から生じるリクエスト。

まだ歩いたことのない道を突き進むと、見えるものがまったく違ってきます。頭のなかの地図にはなかったお店の存在を知ったり、豪邸を見つけたり。少し離れたところから見て立地を把握していたお店も、別の道から近づいてみると、新たな情報を得られることもあります。

初見の建物や風景に出会えると、小さな旅をしているような気分になります。旅といえば非日常のモノですが、日常や生活圏内でも旅はできるんです。飛行機や新幹線で遠くへ移動しなくても、「一本でも多くの道を歩く」意思さえ持っておけば、ローカルにいながらも、ささやかな冒険を楽しんでいけます。

Text / 池田園子

【関連本】『京都なぞとき散歩

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