2024年6月のオープン当初、文筆業の知人たちがSNSや記事で紹介していて知ったお店があります。京都・仁王門通にある「日本酒サロン 粋 -sui-」です。同じ編集業界の大先輩が、まったく異なる分野で店を始めた。その事実は「気になる」以外の何ものでもありませんでした。
当時、私は大阪在住。距離の問題もあり、なかなか行く機会をつくれずにいました。2025年5月に京都へ越してからはチャンスを伺っていました。そしてついに。先日、粋から徒歩5分ほどの場所で交流会に参加し、その帰りにようやく訪れることができました。このタイミングで行こうと決め、営業日も確認し、予定にも入れていたほどです。その夜のメインイベントは交流会ではなく、このお店でした。
比較的早い時間だったこともあり、店主の堀香織さんとゆっくり話す時間を持てたのは幸運でした。印象的だったのは、香織さんの心が開いていること、そして“器”の大きさです。これまで読んできた記事で触れられていた魅力は、どれも誇張ではなく、そのままだったから。

光栄菊 Anastasia Green
また、日本酒や酒蔵そのものにまつわるストーリーを、とても面白く語ってくれたことも心に残りました。私がいただいた「光栄菊 Anastasia Green」をつくる光栄菊酒蔵の話も、そのひとつでした。
光栄菊酒蔵は、佐賀県で長く地元に根ざしてきた酒蔵でしたが、一度廃業しています。そこに日下智さん、田下裕也さんというふたりの元テレビマンが入り、名杜氏・山本克明さんとともに2019年に蔵を復活させました。日本酒文化への深い愛、地域の価値をもう一度立ち上げたいという熱意。その背景まで含めて語られる話は、さすがベテラン編集者であり文筆家。酒の向こう側に「物語」が立ち上がってきます。
開業から1年半のあいだに、粋という場所そのものにも数多くの豊かなストーリーが生まれているそうです。それは、人と人をつなぐオーガナイザーとしての香織さんの存在、そしてその人間的な魅力とエネルギーによるものなのでしょう。そうした場所が街にあること自体が、豊かさなのだと感じました。
行きたいと思い続けた店に辿り着き、これからも通いたくなる理由が分かった夜でした。香織さんや、そこに集う人たちとのつながりに触れたくて、また足を運びます。
Text / 池田園子
【関連本】『ちょこっと京都に住んでみた。』
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