食べることが大好きで、これまでさまざまな飲食店を訪れてきました。気になるお店、そのときの気分に合うお店を見つけると、一回は入ってみようと気軽に立ち寄ります。
自分の食記録として、2016年から行った日付と写真だけ追加している食べログを見ると、行ったお店は2,800軒を超えていました。ただ、9割以上のお店が一度きりの訪問でおしまい。
大抵のお店は美味しくて、味に満足しています。プロの料理人が丁寧につくってくれた料理に対して、不満を感じることはほぼありません。でも「もう一度行こう」と、次なる行動につながるお店はほんの一握り。味だけではない要素が必要なのだと思います。

では、何があれば「また行こう」となるのか。それは、お店の方と気持ちいいやりとりがあるかどうか。
たとえば、5月に京都に来て出会った、北野白梅町のちゃんこ料理店「ごっつ庵」。初めて訪れたとき、店主と相撲の話を少ししました。私は相撲に熱中していた時期があり、店内に貼られた張り紙から、店主が立命館大学の相撲部出身であることを知りました。また、サインや手形などから多くの相撲関係者が訪れていることも。
「次回は◯◯ちゃんこを食べてみたいです」と料理の話も交えたり、「相撲関係者の知人に紹介したら、大阪場所のとき、京都に足を伸ばしてでも来たがると思います」と伝えたり、いろいろなやりとりをしたのです。後日再訪したときには、前回のことを覚えていてくれて、「あのとき◯◯ちゃんこを食べたい、と話してたね」と声をかけてくれました。その気遣いがとてもうれしく、また食べに来たいと自然に思えました。
また、千本中立売にある「おでんと天ぷらとお酒 musubi kyoto」でも、コミュニケーションがありました。TAROがいつかは行きたいと言っていたこのお店。夜散歩中に店の前を通りかかると、閉店時間を過ぎていたものの、店内の灯りがついていたので、外から覗き込んだ私たち。
すると店主がわざわざ外に出てきてくれて、「申し訳ありません。今日はもう閉めてしまったんです」と声をかけてくれました。そのときTAROが自己紹介をして、共通の話題を伝えたところ、とても好意的な反応をいただき、今度改めて予約しますとご挨拶をしました。
後日訪れた際には、とても喜んで迎えてくださり、温かな対応で、また行きたいと思える場所になりました。ちなみに、musubi kyotoは電話予約時も神対応。リアルで見せてくれる笑顔が声だけでも伝わります。こじんまりした店内はいつ通りかかってもお客さんでいっぱいで、予約必須の人気店。料理の美味しさや感動はもちろん、店主の人柄も大いに影響していそうです。
こうした体験を通して感じるのは、その店を運営する人との関わりが、再訪のきっかけになっているということ。美味しさは大前提として、その場で生まれる何気ない会話や心遣いが、自分の内側に残ります。
そのプロセスで生まれた温かな気持ちが、また行こうと「未来のお楽しみ」を計画する行動へと自然とつながっているのだと思います。振り返ると、私がこれまで「今住んでいる地元」と認識して愛を持って生活を楽しんできた東京・駒込、福岡はとくに、訪問を重ねるお店が数軒ずつありました。それはとても幸せなことでした。京都でもそんなお店が少しずつ増えていく予感を持っています。
Text / 池田園子
【関連本】『グルメタクシーが案内する おいしい京都』
「SAVOR LIFE」では、生活をより豊かにするためのアイデアや情報を発信しています。会員様限定のお知らせや限定コンテンツをニュースレターでお届けします。ご登録ください!



