ふっくらやわらか、激ウマ鶏胸肉を食べるための「簡単仕込み」

毎日食べたいくらい、鶏胸肉が好きです。ふっくらやわらかく、美味しく調理できて、しかも安価だから。最高なたんぱく源です。

そう言い切ると「鶏胸肉ってパサパサしてない?」という声が聞こえてきそうです。

とはいえ、やわらかく仕込む方法は巷に溢れていますし、ネットでかなり多くの情報がヒットするので、そういう反応は一昔前のものかもしれません。

そして、鶏胸肉好きな人なら自然としていることでしょうが、事前に調味料に漬けておきさえすれば、「なんてご馳走なのか……大満足」と感じる一品になります。

塩麹に漬けることもありますが、私が最近気に入っている漬け材料は日本酒と味噌。

ビニール袋に皮付きのまま鶏胸肉を入れて(皮は調理後に取り除いて食べる方が美味しく、カロリーもほぼ変わりません)、そこへ日本酒(気まぐれに米焼酎にすることも)と味噌を適当に入れて、揉み込んで一晩以上漬けておくだけです。

たんぱく質は熱を加えると縮んで固くなる性質があります。では、熱を加えても固くならないようにするにはどうすれば?

方法は大きく2つで、(1)たんぱく質が縮むのをできるだけ阻止する、(2)たんぱく質の水分保持量を保つことが挙げられます。

そんな狙いから日本酒と味噌を使っています。もちろん、どちらか片方でもやわらかくはなりますが。

まず、日本酒はpH値(※)が約4.2で酸性です。対して、肉のpH値は約5.5で水分が失われやすい値とされます。

※pH値は0~14の数値で表され、pH7=中性とし、7より小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。

酸性・アルカリ性どちらの値を高めても、肉の保水力はUPしますが、日本酒に漬けると肉はより酸性に近づき、水分量が維持されるというわけです。

味噌に含まれる酵素「プロテアーゼ」はたんぱく質を分解してくれます。

ちなみに、味噌のpH値は約5で肉に近い数字ですが、味噌の塩分が肉から余分な水分を押し出しつつも、必要な水分量を保ち、やわらかくしっとりした食感を維持してくれるのです。

こんな狙いがあって、鶏胸肉を酒と味噌に漬け込んでいます。

それにしても、鶏胸肉はたんぱく質・カロリー視点で見て、とても優秀な食材です。4月1日から「あすけん」を使い始めて、栄養成分により一層気を配るようになり、鶏胸肉を調べたときに驚愕しました。

鶏胸肉:100gあたり約133kcalで、たんぱく質は21.3g、脂質は5.9g、糖質は0.1g程度

ちなみに、同量の鶏もも肉はカロリーが+60kcalほど、たんぱく質は-5g、脂質は+10gになります。同じ鶏肉でも、できる限り「除脂肪食」を目指していると、選択肢に入ってきません。

先の仕込みだけで鶏もも肉と遜色ないくらい、やわらかい鶏胸肉を味わえるからです。

さらに比較として豚肉と牛肉、ラム肉、馬肉を挙げてみます(すべて100gあたり)。

豚肉: 366kcal、たんぱく質は14.4g、脂質は35.4g、糖質は0.1g程度
牛肉:338kcal、たんぱく質は14.4g、脂質は32.9g、糖質は0.2g程度
ラム肉:287kcal、たんぱく質は15.6g、脂質は25.9g、糖質は0.2g程度
馬肉:102kcal、たんぱく質は20.1g、脂質は2.5g、糖質は0.3g程度

馬肉も鶏胸肉並に優秀で、脂質は鶏胸肉の半分以下ですが、カロリーやたんぱく質の量、調達のしやすさ、リーズナブルな価格など、鶏胸肉の方が総合的に日常使いしやすい・食べ続けやすいです。

ビタミンやミネラルはナイアシンとセレンの量が多いです。私は1食につき150g前後食べるため、摂取カロリーは約200kcal、たんぱく質は約30g、脂質は約9g、糖質は約0.3gになります。

1食で食べる玄米150gが220kcalくらいなので、それと同じくらいでしょうか。レパートリーは豊富にあるので、また別の機会に紹介させてください。

Text / Sonoko Ikeda