才能は要らない献血

趣味で続けている献血が185回となっています。

献血の数字が積み上がっていくのが好きでやっているのであって、社会のためにといった気持ちはないわけでもないけれど、そこまで大きなものではないのが正直なところです。自分が好きでやっていることが結果として誰かの役に立っていたらいいと思うくらいで、誰かのためにやっているわけではありません。

僕の職業はフリーの格闘技選手で、時間に融通がききます。
暇なわけではないけれど、会社に勤めているわけではないので、平日の2時間を空けることくらいは容易にできて、快適に過ごして考える時間に充てる感覚で、都内の献血ルームに行っています。

僕が献血を好きな理由は才能に左右されないからです。

僕がやっている格闘技の場合は素質や才能によって成長度合いが違って、格闘技を始めたばかりでそれなりの経験者を超えることもないわけではなく、その意味では平等ではありません。これは格闘技に限った話ではなく、他競技でも仕事でもなんでも同じだと思います。

取り組みや努力は一定必要ではあるが、才能や素質は個々違うので、成果も当然違います。
スポーツで学ぶ大事なことのひとつは不平等を観念することにあると思っているくらいです。

献血は才能が左右されず、誰でも通えば数字が積み重なります。
献血の才能があったとしても、今日献血を始めた人は、僕の185回の数字を越えられません。今日始めたら1回目は1回目のままであって、才能があったとしても積み上げていかねば数字は変わりません。僕は普段は才能が大きく影響する格闘技をやっているからこそ、才能にまったく左右されない献血が好きなのです。

献血の回数に関しては誰もが平等で誤魔化しが効かないのが僕は好きです。

献血での身体的な影響は、僕は特に感じていません。
格闘技選手は身体に直結した仕事ではありますが、献血翌日も変わらずに練習ができています。定期的に献血ができるように血漿成分献血にしているので、400mlの全血献血よりも身体へのダメージが少ないのもあるはずです。

400mlの献血と血漿成分献血では空けなければいけない期間が違って(400ml全血が12週間で血漿成分献血が2週間)、その分身体へのダメージの差なのだと思います。身体に敏感な格闘技選手が影響を感じないので、身体への影響に関しては大丈夫なはずです。

積み上げていく練習のひとつとして、献血を取り入れてみるのもひとつの手です。
東京の土日の献血ルームは予約必須ですが、地方の献血ルームはどこに行っても余裕があって、快適に過ごせるのでおすすめです。

Text / Shinya Aoki

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