「皿は2枚1セット」という考え方を捨てた

家にいるときはひとりでの食事が9割以上です。にもかかわらず、なぜか器類、中でも皿を2人分(2枚1セット)集めてしまうくせがありました。

「もう1枚」の出番はほとんどないと言ってもいいくらいなのに。

「誰かが家に遊びに来て食事を振る舞うとき、皿がバラバラなのはおしゃれじゃない」「同じ皿で出すと見た目がいい」

そんな考え方に長いこと囚われていたので、ほんの1年前まで皿はすべて2枚ずつ持っていました。

確かに、皿に統一感のある方が洗練されて見えます。でも、ひとり暮らしをしている中で、誰かが来て、しかも食事までしていく機会は、果たして全食事の何%にあたるのか。

東京から福岡へと引っ越す前、ふと考えました。2022年の年明けのこと。

それまで、来客はたまにある方でした。近くに住んでいる人がパートナーだったときは、週1くらいはうちに来ていたし、そのときはごはんも食べていました。

加えて、友人たちも来ていました。ならすと週にひとりかふたりでしたが、ごはんを食べるかはまちまちです。

お茶やアルコールだけ飲む場合もあれば、多めに作った食事を共に食べていく場合もありました。

これらを総合的に考えてみると、ふたり分の皿を揃えて出す機会はほぼないので、同じものをふたり分持たなくてもいいのではないか、と行き着きました。

来客時に飲み物は必ず出すので、グラスやマグカップはふたり分ある方がいいけれど。皿はひとり分でいいのではないか、と。そして何より、かっこつける必要はないなとも。

引っ越しの際、2012年頃に2枚1セットで買った「ARABIA」パラティッシのプレート、小鹿田焼の四寸小皿、トルコで買ったミニ皿、いただきもののお猪口、箸置き、グラスだけは残し、その他の皿はすべてひとり分だけにしました。

誰かがうちでごはんを食べていく「稀な日」、もし品数を多く作って皿が足りないときは、ガラス製の耐熱容器を皿として使ったり、普段使わない木製の皿を引っ張ってきたり、なんとでもなっています。

それに、皿に統一感がなかったとしても、それを何か言う人はいません。みんなが見ているのは料理で、それが美味しく食べられるものであれば、それでいいと思うようになりました。

それよりも、せっかく厳選して持っている一つひとつの皿の出番を増やしたい。たくさん使いたい。そうなると、少ない皿をいろいろなシーンで使うのがいい。

というのは私の偏った考えであり、「料理は皿と盛り付けが9割」と話す知人もいます。そのお宅でいただいたフレンチレストランのように洗練された食事と器は私を楽しませてくれました。

同じ皿を数人分、さまざまなタイプの器をたくさん持っている友人と、そうでない私。思想の違いで、自分の好きなようにするのが一番です。

Text / Sonoko Ikeda