「いちゃいちゃ」から「わちゃわちゃ」へ

「いちゃいちゃ」という言葉を見聞きすると、なんとなく恥ずかしくなるのは私だけでしょうか。

あくまで私の偏った感覚でいうと、ちょっと古い感じ(昭和っぽい)がするのと、字面に照れをおぼえます。

言葉は進化しています。時代によって廃れる言葉もあれば、別の表現に変わる言葉もあればで、いろいろです。

ただ、いちゃいちゃという表現がふさわしい状態というのもあります。

付き合って間もない、ラブラブ(この言葉もいちゃいちゃ同様、使うのがなんだか恥ずかしくて憚られますが、分かりやすいのであえて用います)な時期なんて、とくにそうではないでしょうか。

なぜ、使うのが躊躇われるいちゃいちゃを、あえて今使っているのかというと、私とパートナーは今や「わちゃわちゃ」フェーズへと確実に進んだなと気づいたからです。

遥か後方に置いてきたいちゃいちゃを通り過ぎた先に、「私たちらしいわちゃわちゃ」がありました。

我々は仲の良いふたりで、一緒にいるとどうでもいい話が9割です。大して意味のないことを話して笑っている、低コストで幸せな気分になるふたり。

そして、我々にしか通じない・理解できない・我々だけが使うであろう言葉で遊ぶこともあります。先日は「まむ」という言葉が誕生しました。

「まむ」は「つまむ」の略なので、単に短くしただけで、誕生は言い過ぎかもしれません。

彼から二の腕やお腹を「ふにふに」と言いながらつままれたり、仕返しをしようとつまみ返したりするのですが、先日私がつまみ返す際に「まむ」と言って、彼の二の腕を一度つまみました。

その後「もむ」と言って、二度つまみました(二回もみました)。「まむ」と「もむ」の違いを感じてほしかったからです。

さらに「まむ×2」と言いながら二度つまんで、「まむ×2=もむ」と説明しました。

彼は「まむ?」と首を傾げつつも、以降私の「まむ」「もむ」アクションを面白がっています。

ここまで読んだ方は「頭大丈夫?」「何言ってんの?」状態かもしれません。が、それでいいんです。ふたりでいるときは、頭オフ状態にしています。

ここまで気を許せて、ふたりにしか通用しない謎なやりとり、遊びができること。賑やかで爆笑が多いわちゃわちゃ時間がとんでもなく愛おしいなと思います。

Text / Sonoko Ikeda

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