小さなものから大きなものまで、毎日いろいろな奇跡が降ってきています。歩けば奇跡と遭遇する、そんな感覚があります。
誰しも日常を観察してみれば、ささやかな奇跡の積み重ねであふれているはずです。
たとえば数日前、こんなことがありました。
とある社長との打ち合わせの後、その流れで会食することが決まっていたんです。
時間的に会食は早く始まり20時前には終わるだろう、と予想していた私は、20時から1時間のオンラインMTGを入れていました。
しかし、打ち合わせが想定より長引き（1時間の見込みが2時間に）、その分、会食スタート時間も遅くなることに。私は社長へ正直に伝えました。
「お伝えしなければいけないことがあります。今日20時から1時間、MTGが入っているんです。数日前に入ってきた予定です。
会食は20時前には終わるだろうから大丈夫と思っていました。大変申し訳ありませんが、19時45分頃にはお先に失礼し、近くのカフェでMTGに参加するつもりです」
すると、社長は「こちらこそ時間を見ていなくてごめんなさい」とおっしゃり、「店の近くに適当なカフェはないだろうから」と、会食先の大将に店の空きスペースを貸してもらえないか、と交渉してくださったのです。
社長が常連であること、大将がその頼みを快く聞いてくださったこと——そんなおふたりのおかげで私はその日、20時から1時間、階上にあるスタッフルームの一角をお借りして、無事MTGに参加することができました。
「（MTGに）行ってらっしゃい。グラス（お酒）持って行ってもいいですよ」とお茶目な大将。社長も「僕は大将と喋ってるから気にせず行ってきてくださいね」と優しく言ってくれました。
MTGを終えてフロアに戻り、社長に不在の1時間を詫びた後、大将には部屋をお借りしたお礼を改めてお伝えし、同じお店で「二次会」をスタートさせたのでした。
社長や大将の器の大きさ、特に大将に至っては初対面のどこの馬の骨ともわからない私を信用しようとしてくれたこと、そういったところに感謝の想いしかありません。
何かを取り繕うことなく、まっすぐ伝えてみると、こんな奇跡をいただけることがあるんだなあと、しみじみ思います。
正直、誠実な人間でありたい。同時にそんなことも心に浮かびました。
Text / Sonoko Ikeda
