「諦めが肝心」と自分に言い聞かせる機会がありました。
昨日から仕事で大分に来ています。博多駅から特急ソニックに乗って2時間、そこから普通列車に乗って2時間ほどで目的地に着きます。
ソニックに乗るのは2度目でした。「かなり揺れる」と怖い評判を聞いていたので、初回は新幹線と飛行機でしか飲まない酔い止めを飲んで備えていました。
車内ではPC作業はせず、本を読むかスマホでメールやSNSをチェックするか、くらいの行動にとどめていました。
しかし、横揺れがとても激しく、軽い作業をしていただけなのに、酔ってしまいました。
「胃のあたりが気持ち悪い」という程度の酔いですが、それでも気分が悪かったのを覚えています。
ここからは人から聞いたり、調べたりしたソニックの情報です。
ソニックの走行区間はカーブの多さが特徴です。そんなカーブも減速を最小限に抑え、ハイスピードを保って走れるよう「制御振り子式」の列車が採用されたそう。
制御振り子式とはその名の通り、カーブを通過する際にコンピュータ制御が働き、車体が自動的に傾いて、スピードをキープしたまま走る仕組みだといいます。
ここからは私の体験談と感想です。
長距離を高速で移動できる利点は分かりますが、車体が左右に激しく傾く動きが数え切れないほど続くため、「揺れる、揺れる……」とまったく落ち着きません。
今回、前日に届いたばかりで読むのを楽しみにしていた小説『マルチの子』も、車体が傾かない間や駅に停車したタイミングを狙って読みましたが、あまり捗りませんでした。
それくらいハードな電車です。降りてからも1時間ほどは酔いの感覚が続きます。酔い止めを飲んでいてもその程度なので、飲まなければどうなるかと想像すると恐ろしいです。
2時間というまとまった時間があれば、分厚い文庫本を半分以上は読めたでしょう。でも、私は読み進めるのを諦めました。
無理のない程度に読んで、そのほかの時間は何もできなくても、目を閉じて目を休めたり、遠くを見ながら考え事をしたりしよう、と気持ちを切り替えたのです。
普段は必ず何かをしているので、家でも外でも何もせずにぼんやりする時間はないに等しいです。
ぼーっとしながら(何をすることもなく)、何かを考えることに集中する時間は必要だと思いながらも。
だからこそ、ソニックに乗っている間の何もできない時間を「何もしない時間」に変えることにしました。
その間に考えていたのは、世にあったらいいなと思うモノやサービス、月末に行く富士・樹海で行うアクティビティ、Xが記事をポストしたときのUIを大幅に変えた狙い、メディアとしてその改悪にどう対応するかetc. いろいろです。
「せっかく持ってきた本を読めない苦痛な時間」ではなく、「普段とっていなかった考えることだけに集中する時間」と前向きに捉えたことで、建設的な時間になったと感じています。
「物事を前向きに解釈する」がキーワードです。
Text / Sonoko Ikeda