手作りの服で楽しむ、新しいおしゃれ

着なくなった衣服はすべて人に譲ります。

衣服に生き物のような命はありませんが、数え切れないくらいたくさんの人の手によって、この世に誕生したことは間違いありません。

だからこそ、「着てくれる人、生かしてくれる人の手に渡って、たくさん着てもらってほしい」と願っています。

譲り先は友人知人、実家の母(託すと母のまわりの人々に巡っていく)、ジモティーのユーザーなど。フリマアプリで売るのは面倒で、そこに時間を費やしたくないのでしません。

こんなふうに完全なる「譲る側」だった私ですが、今年になって「譲られる」機会が増えました。

ヴィンテージショップの知人、母の知人で洋服作りが趣味の方などから、衣服をいただくのです。

自分の好みに基づいて選んだ衣服を着るのがこれまでの私でしたが、いただいた衣服の中に思わぬ出会いがあり、それを楽しく感じています。

とくに、手作りの服には既製品にはない魅力があります。

先日、母の知人が作った衣服をたくさん譲り受け、既製品には付いていないようなところにポケットが付いていたり、特徴的なデザインだったりと、ユニークさに惹かれました。

もともと持っていた衣服を裁断して作られた、いわゆるリメイクされたもので、世界のどこを探しても他にない、誰ともかぶらない、文字通り世界に一着の衣服です。

以前からハンドメイド作品プラットフォーム「Creema」で衣服を買うこともありましたが、それ以上に少量生産された衣服ともいえます。

ショップでは出会えないタイプの衣服であり、それを私が着ることで新鮮な装いになり、長く大切にされてきた衣服(の上質な布)が今風に生まれ変わり、私がこれから大事に着させてもらう。

この「循環」に温かみを感じ、着るたびに、洗濯するたびに優しい気持ちが生まれそう。「新しいおしゃれ」を楽しむ機会ができたことに幸せを感じます。

Text / Sonoko Ikeda