「お裾分け」することが好きです。
私にとってお裾分けとは、小さな幸せをシェアしていくイメージで、言い換えると、ポジティブな感情を連鎖させていくような行為。
たとえば最近では、道の駅で500gの袋で買ったぎんなんをご近所さん3人へお裾分け。数十粒ずつ小分けにしてお渡ししました。
ぎんなんは美味しいけれど、一度にたくさん食べると危ない食材でもあります。
封筒に入れてレンジでチンして、キッチンバサミの持ち手付近で殻を割り、薄皮を剥くのもなかなか大変。
そもそも、ひとり暮らしでは食べきれない量なので、料理をする友人知人にも食べてもらいたいなと思ったのです。
食べ物ではありませんが、先週「お香」のお裾分けもしました。
話していて「お香を焚く習慣がある」と分かったご近所さんに、次に会ったタイミングで我が家で焚いているお香数種類を10本ずつくらいお渡ししました。
お香を買ったことのある人は分かると思いますが、お香は1箱にけっこうな本数が入っていて、毎日焚いてもなかなかなくなりません(うれしいですが)。
世の中にお香専門店はたくさんあって、お香好きだといろいろなお香を集めているわけで、別の香りも使いたいし、手持ちのものは使い切りたい。
しかし、ひとりで使っていると本当に減りません。いまだに私は2021年夏、屋久島で買ったとてもいい香りのお香「屋久杉香」を持っています。
お香好きな人にお裾分けすることで、香りの共有もできて、お香の消費もできます。そのお香を気に入ってもらえたら、店舗での購入にもつながります。
そうやってお香をお渡しした相手から、「頼んでたお香が今日届いたのでどうぞ」と逆にPARKERのお香をお裾分けされて、結果的に「新しい香りとの物々交換をした」なんて奇跡も起こりました。
好きなモノ、気に入っているモノをまわりの仲良し、気の合う人に少しだけお渡しする——そんな温かい流れが心地よく、今後も相手の負担にならない、ささやかなシェアを続けていくことでしょう。
Text / Sonoko Ikeda