ひとり暮らしだけはやめられない

私は「自分と一緒にいる」のがラクで、一番心地よい。そう気づいたのは、エッセイストである中前結花さんのポストを見たときでした。

「『自分』という親友を、手放してしまったんだ」を受けて、さすが……なんて的確な表現だろうと思いました。私も親友は自分自身だ、とも。

9月はいつもより長めの約2週間となる大阪生活を終え、10月1日から16日まで自宅のある福岡で過ごしていました。

その間、友人知人の誰ともまったく会わなかった日は2日と、人と会う機会が特に多い日々でした。仕事に出張、遊びで目まぐるしい16日間。

今回、人と一緒に過ごす時間が多すぎたせいか、どれも私が主体的に選び取った人間関係で、楽しい時間であることは間違いないのに、ふと「“私”と一緒にいる時間が足りない。もっと“私”とゆっくり過ごしたい」と思ったのです。

19になる年に実家を出て上京した私は、妹と同居した新卒1年目、同棲・結婚していたときを除くと、15年くらいひとり暮らしをしています。

筋金入りのひとり暮らし好きであり、かつ、ひとりでいるのが苦ではく、ひとりでやることもたくさんあります。

死ぬまでに味わいきれない量の触れたい文化作品があるから、ひとりで家にいるのも楽しいです。一方で、旅やちょっとした未知の場所など、ひとりでどこかに行くのも好き。

ひとり暮らしだからこそ許される行為、逆にいうと、同居人がいるとなかなかしづらい行為も愛しています。

たとえば、風呂上がりに全裸でスキンケアをする、部屋の中ではトップスは着るけれどボトムスは履かずにパンツ一丁で身軽でいる、ワインと合わないであろう食事中に「今日はワインを飲みたいから飲む」といった理由で自由な食卓を楽しむ。

好きな香りのお香を焚く、読みたい本があるときはとことん夜更かしする、自分の趣味全開の欲しいモノを躊躇なく買うなどなど、挙げていけばキリがないほどです。

これぞひとり暮らしの醍醐味だろうと満喫しています。私が単独の「最高生活意思決定機関」であるひとり暮らし。やめられる気がしません。

Text / Sonoko Ikeda

▼いつまでも元気にひとり暮らしをする先輩たちが素敵▼