樹海の「精進湖民宿村」に泊まりました

「精進湖民宿村」に2泊しました。読み方は精進料理の「しょうじん」ではなく、「しょうじこ」です。

精進湖は富士五湖のひとつで、関東地方の人や富士河口湖町を訪れたことのある人なら知っているかもしれませんが、私の現在の本拠地である福岡の人にとっては「どこ?」かもしれません。

富士山の北麓にあるリゾート地。九州でなんとなく近いのは阿蘇でしょうか。精進湖から10kmほど南下したところにある朝霧高原あたりは、阿蘇の景色にちょっと似ているような気がします。

話を精進湖民宿村に戻します。精進湖民宿村を画像検索すると、空撮したものがいくつか出てきます。

青木ヶ原樹海に溶け込むようにして存在する、いかにも人工的な長方形の集落が確認できるはずです。

調べてみると、精進湖民宿村の成り立ちには悲惨なエピソードがあります。

1966年(昭和41年。私が生まれる20年前)に起きた台風の影響で、西湖(富士五湖のひとつ)に隣接した集落で大きな水害がありました。

精進湖に隣接した集落もその集落の状況と似ていて、いつかは自分たちも同じ災害に遭うかもしれない、と危機感をおぼえた住民たちが、集落ごと樹海エリアへと引っ越したのだとか。

それから1970年代になって、この集落で民宿業を始める人が増えたそうです。

精進湖民宿村を歩いてみたところ、廃業した民宿もありますが、今も10以上の民宿が営業しています。

精進湖の周りを1周してみると、ホテルや民宿が点在しているほか、湖畔にはキャンプ場があり、精進湖民宿村よりも賑わっている印象を受けました。

湖に近いことや湖畔でキャンプ、BBQができることから、樹海隣接エリアともいえる精進湖民宿村より、精進湖隣接エリアの方が人気なのかもしれません。

一方で、精進湖民宿村の良さは間違いなくあります。精進湖民宿村の裏手は樹海であり、樹海をすぐそばに感じられる点が魅力です。

左手はもう樹海

過去の経験から、深い自然の中を動き回るのは苦手意識・恐怖心があるため、「樹海本」は読んでも樹海探検はしません。

ただ、ここまで近いと樹海の静けさや空気を感じることはできます。夜は真っ暗なので、月や星も美しく見えます。

1日目は「岳心荘」、2日目は「民宿 丸慶」に宿泊し、2日とも静かな環境の中ですぐに深い眠りに落ちました。朝は鳥のさえずりで心地よく目覚め、いい眠りを得た実感がありました。

丸慶では部屋から樹海の先にある富士山を見渡せます。窓からの景色がライブ感のあるアートのよう。

15時前にチェックインして部屋で過ごしていると、“生きたアート”が刻々と変化していく様を日が暮れるまで楽しむことができます。

アクセスはというと、確かに樹海のすぐそばにあるとはいえ、歩けば3分ほどで国道139号線に出られます。

精進湖を見たければ、5分ほど歩けば着きます。より良いビュースポットに行くには、歩いて30分くらいはかかりますが、クルマがあれば問題ない距離でしょう。

近くに食事処はないので、食事は民宿でいただくのが◎です。どちらの民宿も地元産の食材を使った美味しい料理をいただけました。

静かで、空気の澄んだ場所。富士河口湖町を目的地にするときは、宿泊先候補にしてみてはいかがでしょうか。

精進湖民宿村についてもっと知りたい方は、「さくら通信で「おまけ放送B『青木ヶ原樹海怖い』」を目的に、「過去放送&おまけ放送集第23巻」を買うといいです。

主宰のさくら剛さんが精進湖民宿村について語っていらっしゃいます。私もその放送を機に知り、突き動かされるようにして予約・宿泊に至っています。

Text / Sonoko Ikeda