いつの間にか流行を追わなくなっていました。
クローゼットにあるのは、テイストはさまざまながら、気に入っている衣服たち。
白、黒、グレー、カーキなどのベーシックカラーがある一方で、赤やピンク、ラベンダー、イエローなどの明るい色、青やネイビーなどの暗めな色もあります。
買った時期や場所もそれぞれ違います。
ただ、衣服たちに共通しているのは、私自身が「いつ頃のタイミングで、どこで買ったのか(あるいはいただいたのか)」をすべて言えること。
それくらい、一点一点が印象に残る1枚で、ドラマチックな存在で、その分、大切な買い物記憶(ギフト記憶)として脳裏に焼きついているのだと思います。
逆に、これまで膨大に手放してきた衣服は、悲しいことに(自分の軽薄な購買行動を反省します)深く考えずに購入したケースが多いです。
「これは!」と気に入って買ったものは長く所有します。
現に、今一番長く持っている(と言いつつ、私よりも遥かに“もの持ち”のいい人にとって)よそ行きの衣服は、2018年に東京・駒込の霜降銀座商店街の「Pany」で買ったカーキのスカート。
厚手の生地で、切り替えが美しく、バックに付いた小さなアクセントが辛めでカッコいい。穿くと良さが際立つ素敵なデザインです。
店主は70代の男性で、センスの良い方でした。
同時期にPanyで買った黒いライダースジャケットは形が気に入っていましたが、合皮だったため裏側が徐々に傷んできて、泣く泣く手放しました。
当時、いろいろとお話をしながら購入したことを今でも覚えていますし、5年以上経った今も気に入っているアイテムのひとつです。
トレンドと照らし合わせるとどうか? ということは考えません。流行を気にしないからです。
「私のベーシック」として着るので、ファッション業界が製品を売るために決定した・作り出した流行りやムーブメントは、私とは何ら関係のないことだと捉えています。
気に入った衣服を私らしい形で長く纏う。流行りに囚われない、自分流のファッションを楽しんでいきたいです。
Text / Sonoko Ikeda
▼何を着るか、着ないか▼