季節の器「重箱」の日常使いアイデア

少ないもので暮らしていきたいと常々思っています。
しかし我が家は夫婦+子ども2人の4人暮らし。
どんなに部屋を片付けても、子どもの成長とともに物は増えていきます。

欲しいものがあるときは、本当に今の自分に必要か、どれくらいの頻度で使うのかをまず考えます。

4〜5年ほど、欲しいけれど上記の理由から買うことを悩んでいた物がありました。
それが、重箱です。
私は料理が好きで、おせちを作るのがその年最後の楽しみになっています。
作ったおせちは、毎年ガラスやホーロー製の容器に詰めていました。
重箱は持っておらず、そもそも年に数日(下手すると2日ほど)使うだけのものは必要ありません。

これで十分。悪くない。

自分に言い聞かせますが、おせちの仕上がりに納得がいかず悶々とした気持ちでお正月を迎えていました。
悩みがないのが悩みと豪語する私ですが、思い返すと真剣に、しかも長期にわたって悩んだのはこの重箱くらいでしょうか。
お皿や箸は生活に必要ですが、重箱はなくても困りません。
それでもなお、毎年お正月に同じことを呟きます。

おせちを重箱に詰めたい。

悩んだ末「日常的に重箱を使う」というアイデアが浮かびました。
そして、食卓に馴染みやすいデザインの重箱を探すことにしたのです。

実店舗、オンライン両方で探すこと数週間、理想の重箱を見つけました。
柄の入っていない、赤・白・黒が美しいシンプルな3段重箱です。
1段目は仕切りなし、2段目は仕切りで4つに、3段目は9つに分かれており、仕切りは取り外し可能。
見た目だけでなく、使い勝手がよさそうなところも気に入りました。

我が家にやってきた重箱は、ハレの日の特別な箱ではなく、保存容器の一つとして使われることになりました。

よく入れるのが、パン、果物、おにぎりなどの熱くない食べ物。
仕切りがあることで重宝するのは、手巻き寿司やサンドイッチの具材、素麺の薬味を入れるとき(フタがあるので、そのまま冷蔵庫に入れられることもポイント高)。
娘たちが駄菓子を入れ、おばあちゃん家にあるようなお菓子入れの役目も担っています。
何を入れても見栄えよく、フタを開けるときのワクワク感は他の容器では味わえません。

季節を彩るモノは、使用する時期以外は片付けておくべきだと思い込んでいました。
もちろん、その季節に使う意味やいわれを知ることは大切です。
しかし我が家の重箱を見て思うのは、家で自分が楽しむだけなら季節外れでもよいのでは? ということ。
季節に囚われず「別にいいやん」と言えるくらい、自由な考えを持っていたいです。

Text / Asako Yano