「それはちょうどいい!」という魔法の言葉

「先輩、大変です! 客先に来ましたが、営業資料を全部忘れました」

もし職場の後輩からそんな連絡があったら、皆さんはどう返しますか?

こういう「困り事報告」に対して、全て「それはちょうどいい!」とリアクションするゲームを体験しました。

「(ちょうどいい、って……)ええ!?」とのけぞる後輩に対して、ネガティブをポジティブに変える言葉を伝えるのです。

これは、12月4日から北海道厚岸郡浜中町にて参加している「浜中ワーケーションステイ」に組み込まれた人材育成ワークショップの一コマです。

浜中ワーケーションステイは、浜中町を舞台に地方の過疎化再生のモデルケースを創るプロジェクト。まずは「浜中町で働く、暮らす」を疑似体験します。

さて、先の後輩に対し、私なら「資料に頼らずに説明するチャンスじゃない! がんばれ」と返すでしょう。

2人1組となるこのゲームで、私とペアになった方とでこんな掛け合いをしました(交代で「社長」と「社員」の役をしました)。

社員「社長、大変です! 経理部のメンバーが全員辞めました」
社長「それはちょうどいい!」
社員「ええ!?」
社長「人の入れ替えで、より良い経理チームを作れるじゃないか!」

社員「社長、大変です! エントランスにゴキブリが10匹います」
社長「それはちょうどいい!」
社員「ええ!?」
社長「この前買ったばかりの、すごそうな殺虫剤を試せるじゃないか!」

他にも思いつく限り、いろいろとやりました。これがなかなか楽しかったです。

この日、ワークショップの講師を担当していたのは、まちづくり観光デザインセンター代表取締役社長・地域プロデューサーのかとうけいこさん。

北海道足寄町出身で、北海道の地を愛し、道内を中心に日本各地で地域活性のコンサルや講演をされている方です。

このゲームはかとうさんがファーストリテイリングと関わった際、同社がこのような掛け合いを通じて、ピンチをチャンスに変える訓練をしていると知ったのを機に、ワークショップに取り入れるようになったのだとか。

これを日常的にやって、ピンチ=チャンスに変換するクセを付けておけば、折れづらく、強く、過ごしていけるように思います。

ほかにも「言葉を使わずに誕生日順に並ぶ」「短時間で2人の共通点をできるだけたくさん見つけ出す」「向かい合った人同士で褒め合う」など、面白くも実生活でも生きるゲームをいろいろしました。

アイスブレイクもできるし、子どもと比べて褒められる機会が減っている大人にうれしい時間にもなるし、それを職場や友人、家族ともやってみようとも思えるしで、いい時間になりました。

浜中ワーケーションステイは「サンカク」経由で知り、エントリーして選考を通過した多種多様な背景を持つ15名が参加している特別な機会です。

この場に選んでいただき、参加できている幸運をありがたく思いながら、ここでの体験や感じたこと、生まれた結びつきを日常に溶け込ませていきます。

Text / Sonoko Ikeda