コインランドリーでおじさんに問いかけたら

「ダウンって洗えるんですねえ」

洗濯ネットからダウンを取り出したおじさんに話しかけると、その人は一瞬「えっ」という顔をしたあと、「ちょっとしたコツさえ知っておけば、自分でも洗えるんですよ」と話し始めました。

おじさんが話してくれたのは、こんな内容です。

・ダウンは洗える(ただし、高級なダウンはやめておいた方がいい)
・洗う際に小さく折りたたみ、他の洗濯物をわりとぎゅうぎゅうに押し込んで洗うと、中まで十分に洗える
・逆にダウンだけ洗うなど、洗濯機の中に余白があると、ダウンが水中を泳ぐだけで、うまく洗えない
・乾燥は5分したあと、裏返してまた5分ほど。その後は自然乾燥させる
・革製品も洗える
・いろいろなものをコインランドリーで洗い、乾燥させて、どこまで自分で洗えるのかを「研究」してきた

「クリーニング店さんの営業妨害になるでしょ。だから、聞かれない限り話さないんですよ」と言われましたが、何を信じて、何を信じないかはそれぞれの判断です。

主におじさんが話し、私はときどき質問を重ねて、10分近くは話していたでしょうか。

早朝6時半にジムへ行く前、スニーカーを洗うためにコインランドリーに立ち寄った私は、トレーニングを終えてスニーカーをピックアップしに行きました。

靴専用洗濯機からスニーカーを取り出し、さあ帰ろうとしたとき、おじさんがダウンを洗濯ネットから出すのを見て、「これは話を聞きたい!」と不意に話しかけたのです。

コインランドリーで洗えるなら、クリーニング店に持っていく必要も、そこでかかるコストも不要になって、一石二鳥ですから。

おじさんは「この時間(6〜7時台)って、ここ、あまり人がいない」と話していたこともあり、早朝に見知らぬ人から話しかけられたことにびっくりした様子でした。

私も、ときどき行くそのコインランドリーで、人に話しかけたのは初めてでした。

人は自身が得意とする分野の問いを投げかけられると、見知らぬ他人であっても、たくさん話してくれる(積極的にGiveしようとする)んだなあと再確認する機会になりました。

「教えてほしい」というスタンスで問うと、相手方は気持ちよく教えてくれるものです。

おじさんも最初こそ驚いていましたが、徐々に笑顔を交えて語ってくれるようになっていました。

別れ際、「お気をつけて」とまで言ってくれました。

その際、「お気をつけて」は相手の無事を祈る挨拶で、自分も使いがちですが、海外のように「今日も良い日に」とよりポジティブな挨拶を口にするようになりたい、と新たな気づきも得られました。

それについては今度、また別の機会に書きます。

Text / Sonoko Ikeda

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