「もし〜だったら」の空想話ができる数少ない人

突拍子もない、現実味のない空想話。小説を書くことを目的としたブレストとしては「いい」かもしれないけれど、日々の生活や仕事には役立たなそうな「もし〜だったら」の話。

そんな架空の、傍から見ると「なんでそんな話で盛り上がってるの?」なお題で盛り上がれる相手と4年に一度くらいの頻度で出会ってきました。

彼らに共通するのは、私より10歳〜ひとまわりくらい年上の男性です。20代後半以降から4年に一度なので、振り返ればそんな人がふたりいます。

先日、ある方と食事をしていて、「この人が“3人目”だ」と確信する場がありました。

その話題に進んでいった経緯や詳細は省きますが、「クリエイティブな拷問」「キッチンにある道具を使った拷問」というお題でアイデアを出し合ったのです。

(私が某ベストセラー犯罪小説のドラマを見たことをその方にシェアしたのが、おおもとのきっかけです)

薄暗く温かな照明が灯るバーで、「もし〜を使うなら」と、いろいろな道具や設定を考え、妄想を述べ合い、盛り上がっていました。

とてもここには書けない内容ですが、創作活動の素材になると考え、私はノートを広げてメモをとっていました。

かなり怪しいふたり組です。男性は常連客ということもあり、マスターから「何の話をしてるんですか(笑)?」とつっこまれるほど。

ただ、こんな「現実味のない話」を大の大人が真剣に考えて、それぞれアウトプットして、自分がまったく思いつかなかった案を聞いて驚き、爆笑する。私にとって、そんな特別な化学反応が起きる相手は多くありません。

振り返れば、過去のふたりは「親しい男友達」にあたります。

3人目の方は私を「飲み友」と認識してくれていて、この先も何度か創作にしか使えないようなテーマで語り合えば、より親しい友達になれる可能性はあるでしょう。

自分が自分らしくいられて、枠の中にとどまらない発言が飛び出し、クリエイティブな感情が高まる場だからこそ、今後も友達でいていただきたいなと願うばかりです。

残念ながら、過去の恋人やパートナーたちには、私が自分らしくいられて、かつふざけて楽しめる人はいますが、この手のテーマで盛り上がる人はいませんでした。リアリストが多いのでしょうか。

「もし〜だったら」という創作につながり得る話を、時間さえあれば延々とできる相手は、本当に数が少ないと思います。

そういう話に乗れない人、現実とは無関係な話に興味がない人の方が多いのかもしれません。好みや考えは人それぞれだからこそ、仕方のないこと。

人にはそれぞれの得意、不得意、役割がある。その当たり前を理解して、身勝手な期待せずに過ごしていきたいものです。

Text / Sonoko Ikeda