100均で買ったイワシ水煮缶で、蕎麦のつけダレを作ってみたら、パートナーに大好評でした。私自身も感動のあまり、蕎麦湯で割ったほど。
ここで、最初の一文を訂正します。「作ってみた」と偉そうに言うほど作ってはいません。作ったと言えないほどに簡単だったから。
「混ぜただけ」が正しい説明文だと思います。
つけダレ用の器に身と汁を二等分して、麺つゆと希釈用のお湯を加えて混ぜるだけで完成です。
「作りました!」と胸を張って言いづらいシンプルさではないでしょうか(エッセイのタイトルは長くなりすぎるのを避けるため「作る」と記載しています)。
イワシは優秀な食材です。人の体内では作れないオメガ3系脂肪酸であるEPAとDHA(DHAは脳に届く成分といわれます)を摂取できるほか、カルシウムやビタミンCも含まれています。
ちなみに、缶詰は生魚より新鮮といわれるくらい、水揚げ後すぐに捌いて加工されるため、フレッシュな魚を食べられるメリットも。
本当はこの日、豚肉を買って味付けをして、蕎麦に乗せて食べることも考えていました。
しかし、買い物に向かう途中、ふと「家にイワシ水煮缶があった」と思い出し、あえて魚を乗せてみるのもどうかと考えたのでした。
(モノを溜め込みたくないため、家にある「在庫」を使って料理をしたい、という思いもあります)
いざ調理を始めてからは、蕎麦に乗せる具材としてではなく、つけダレの材料として使えるのではないかと発想が切り替わりました。
そうすれば水煮に味付けしなくても、麺つゆを入れれば缶丸ごとつけダレに使えます。
当初はイワシ水煮缶を使うつもりもなく、本当に偶然の展開で生まれたメニューです。
ふとしたひらめきで、美味しいモノができて、食卓に会話が生まれる。そんな喜びを味わった夜でした。
Text / Sonoko Ikeda