出かけるとき、忘れてしまいがちなモノがあります。それは歯間ブラシとハンカチ。
どちらも私には必要不可欠なモノです。
出かけた先で飲食した後、歯を磨くのは無理でも、歯間は掃除しておきたいから。
手洗いうがいをするとき、貴重な資源から作ったペーパータオルではなく、繰り返し使えるハンカチを使いたいから。
ハンカチについては「いい子の発言」ぽく聞こえるかもしれませんが、それ以外にも理由はあって、気に入った柄のハンカチを使いたいという考えもあります。
モノは所持してしまっておくのではなく、使ってこそ意味があります。だから、できる限り出番を増やし、たくさん活用したいのです。ハンカチでも服でも食器でもいえること。
しかし、限られた収納スペースの関係上、歯間ブラシは洗面所、ハンカチは寝室に置いているため、出かける直前の動線によってはそれらを忘れてしまうことがありました。
移動中や出先で「あっ……」と気づいたときは、がっくりきます。忘れたからといって、まだ家にたくさんあるのに買い足す選択肢はないからです。
無闇にモノや在庫を増やしたくないため、それがない状態で過ごすことを観念するしかありません。
「うっかり忘れてがっかりする」ことが何度かあった後、対策を考えつきました。
玄関のカギ置き場にそれらを置いておこう、というアイデアです。
幸いなことに、玄関には備え付けの棚があります。基本的には靴箱として使われる棚。
ひとり暮らしにしてはその棚は妙に大きく、全部で10段あります。トイレや洗面所に備え付けの棚がない代わりにせめてもの……という意図での設計なのでしょうか。
15足の靴(多いので減らしていきます)を入れて余ったスペースには、トイレットペーパーやティッシュの在庫、消臭スプレー、ジム用品などを入れています。
その一角に、買ったもののほぼ出番のない、インドカレーのステンレス皿を置いています。
3分割された皿で、鍵は一番大きい部分が定位置です。そこに前夜、カバーをつけた歯間ブラシ、ハンカチを設置。
皿の小さい部分には、必要なときに着けるアイウェアとそれを入れる袋を置いています。
鍵をかけ忘れることはないので、毎日必ず鍵に手を伸ばします。そのタイミングでボトムスのポケットに歯間ブラシ、バッグにハンカチを入れれば完璧です。
仕組みを作ってからは、それらを忘れることはなくなり、出かけた先でも心地よく過ごせるようになりました。
ただ、これが仕組みとして最高とは言い切れません。棚を整理すれば、ハンカチをその棚に収めることもできそうです。
快適な生活への試行錯誤は生きている限り続いていくのでしょう。
Text / Sonoko Ikeda