「1回触ったらやりきる」と決める

「1回しか触らない」

これ、何のことかわかりますか? メールでも郵便物でも、やろうと思って物理的に触れたモノでも、何にでもいえることです。

たとえば、メールは1回開いたら即返信するか、返信に時間を要する内容はスケジュールに入れるかして、すぐ片づけるか忘れず対応する仕組みを作ることを指します。

スターを付けておいて、時間があるときに開いて読んでは、「やっぱり今は対応する時間がない。あとでやるか」と閉じる……。

そんな動作を繰り返すのは、即レスできないメールならあるあるかもしれませんが、逡巡する時間のチリツモは大きいものです。

この「1回しか触らない」は『1440分の使い方』(ケビン・クルーズ)に書かれていました。

「1回しか触らない」を読んで、私が実行に移し始めたのは「郵便物を1回しか触らないようにすること」です。

毎月、会社のバーチャルオフィスから郵便物が転送されてきます。まとめて来るため封筒がたくさん入っていて、対応を億劫に感じています。

封筒上部を切って中身を取り出し、折られた紙を開き、必要な書類は取っておいて、さらに対応が必要なモノは情報の記載や捺印をするーー。

「メールに送ってくれれば良くないかな? そうすればこれに関わる全員がラクになり、郵便物処理をする無駄な時間はなくなるのでは?」といった内容も郵便で来ることがままあります。

それゆえ「面倒だな。明日やればいいだろう」と後回しにしがちです。

なにせ、郵便物を開封して必要・不要に選り分けるだけでも、なぜかエネルギーを消費してしまうのですから。それだけメールに慣れているということでしょう。

選り分けた後1〜2日、床や椅子の上にそれらを置いたままにして、その後重い腰を上げて対応することも多々ありました。

床や椅子の面積を減らし、部屋が散らかり、見た目も悪くなり……と、いいことがひとつもないのは分かっていましたが、どうにも気が乗らなかったのです。

ただ、「1回しか触らない」を読んでから、気持ちを切り替えました。

「郵便物に触るのは1回」と決めて、開封→選り分け→対応が必要なモノは即対応→外に行けば投函できる状態に整えて封書を玄関に置く、というアクションを一度でするようになりました。

「これから郵便物の処理をする」と気合いを入れて臨むので、一定の時間を要することは承知の上です。

「やりきる」というほど大袈裟なことではありませんが、自分の脳内には「郵便物処理をやりきる」という思いがあふれています。

この習慣を始めてからは、部屋の床が紙の書類で散らかることもなく、気持ちの面でも「面倒な事務仕事を終えた」とすっきりでき、いいことづくめです。

「1回しか触らない」はチリツモな無駄な時間を削減するのに有効。面倒な物事を「やろう」と思いながらも、結局何度も後回しにしてしまう、という方に試してほしい方法です。

Text / Sonoko Ikeda

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