「結局、黒パンツが落ち着く」というのが本音です。
ボトムスは何着もあれど、年間を通して出番が多いのはやっぱり黒パンツ。
夏用と春秋冬穿ける用をあわせて3着持っていましたが、昨年12月に北海道厚岸郡浜中町へ行く前、ふと「手持ちの黒パンツで大丈夫か?」と冷静に考えました。
私は寒いところが極端に苦手です。とくに冬の盆地で感じるような、底冷えのする寒さに弱いのです。
大学生の頃、冬の京都でお腹を壊して下痢ではなくなぜか嘔吐し、一緒に旅をしていた男友達に介抱してもらったのが強烈な思い出です。
中学時代の友人だった彼は嫌な顔ひとつせず、私の背中をさすり、吐瀉物を片付けるのを手伝ってくれました。
人類皆に優しい、よくできた人物でしたが、彼にとっても「そんちゃん=冬の京都で吐いた友達」とインプットされ、強烈な記憶になったことでしょう。
その後、会う機会があれば、そのエピソードは面白おかしいネタにしていましたが。20年近く経った今も、忘れることはありません。
そんなエピソードがありながら、冬の浜中町を訪れる機会に自ら手を挙げるなんて、どうかしていると後になって思いましたが、そんなの関係なく行きたかったのです。
ただ、浜中町で寒さのあまり嘔吐するのは避けたかった。
だからこそ、防寒対策をさまざま考える中でひとつの策として、特別に温かいボトムスで下半身から冷えるのを防ごうと、探すうちに出会ったのがファクトリエで取り扱いがある「360°ストレッチの裏起毛パンツ」です。
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ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命 [ 山田敏夫 ] 価格:1540円 |
メーカーはスカート専門縫製工場「デ・アイ」(熊本県球磨郡あさぎり町)。穿く人の身体がきれいに見えるスカート作りに定評があるそうで、パンツも同じ考えで作られています。
穿いてみると、確かにお尻周りがとくにきれいに見えます。
股上が深い設計ゆえ、腰の高い位置でウエストが絞られるため、背面のギャザーの膨らみが腰の上の方にできます。その膨らみの位置が高めだからこそ、ヒップトップが高く見える仕掛けがあるといいます。
表側は肉厚で上質な生地(日本製)が使われています。内側の裏起毛は生地の深部から起毛させた深起毛を用いて、空気の層をより多く取り込むことで、高い保温効果が期待できる仕組みだとか。
穿くとすぐに温かさを感じ、毛布を纏っているような幸せな気分になれます。
見た目のタイプが違うものが欲しいと思い、テーパードタイプ、ストレートタイプを1着ずつ購入しました。
脚は競輪選手のように発達している私ですが、ウエストは脚と比べるとそうでもないので、サイズは36を買うとちょうど良かったです。
寒い日はもう「360°ストレッチの裏起毛パンツ」しか穿けなくなるほど、虜になっています。春秋冬用の黒パンツだと寒い……という方は試してほしい名品です(色は黒のほか、ネイビーとベージュもあり)。
Text / Sonoko Ikeda