引っ越しに備え、細々としたモノを手放す日々を過ごしています。
「差し上げます」と出品すると、ほぼ100%の割合で「ください」という人が現れる「ジモティー」を便利に感じて数年使っていますが、ときに複雑な気持ちになることがあります。
(ジモティーで洋服を譲る中で親しくなり、その後は友人となった方がひとりいて、それは素晴らしいつながりではあります)
「一般の個人」を装いながらも、明らかに中古品販売に携わる事業者、せどりなのか何でも欲しがる個人とやりとりをするときです。
0時台に「2年前に買ったテレビ、無料で譲ります」と出したら、数十秒もしないうちに「今から引き取りに行けます。XX(50kmくらい離れている)から向かえます。2時間後くらいに着くと思います」。
「引き取り」というワードもそうですが、どう考えても仕事ゆえの情熱、行動力ではないかと。
自分の不用品を無料でシェアすることで、モノを「ゴミとして処分する」ことは避けられたとて、それを本当に必要とする人に直接巡っていかなかったな、と感じるからです。
不用品を手放す側のエゴ、勝手な言い分だと自覚していますが、そんなふうに残念な気持ちになることがあります。
不要になったモノを本当に求める人にシェアできるサービスはないものか? と探していて年末に知ったのが「ロキャピ」でした。
ロキャピは「譲る」形ではなく、「貸し借り」という形でシェアするアプリです。
地域でのモノの貸し借りを通じて、趣味や新たな経験を深めたり、気の合うご近所さんと出会ったりなど、セレンディピティを叶える“ローカルシェア”を打ち出しています。
マッチングアプリという現代的な手法を取りながらも、手渡しでモノを貸し借りする、昔は当たり前にあったコミュニケーションが生まれることが特徴です。
福岡市で登録してみると、2〜3km離れたところにユーザーがチラホラいました。
2022年秋と近年にリリースされていること、一部の人が知るギフトエコノミーの思想に根付いていること、近所付き合いを積極的に求めない人も一定数はいると考えられることなどから、ジモティーほど多くのユーザーはまだいないのだと思います。
ただ、ギフトエコノミーを学び始め、シェアする暮らし・持たない暮らしを推進していきたいと考える私にとっては、応援したいアプリであり、こちらを開発するAsMama社は何らかの形でつながりたい会社でもあります。
同社の事業は人・企業・地域をコミュニティでつなぐコミュニティ創生・活用で、ロキャピ以前に「地元のつながりと共助のアプリ」として、知り合い同士の送迎・託児アプリ「子育てシェア」、地域ごとの共助コミュニティアプリ「マイコミュ」を開発・運営しています。
近所に少数でも友人がいたら、生活は確実に楽しくなります。日常に彩りが生まれるのを私は知っています。
だからロキャピの活用をはじめ、ローカルなつながりを無理せずに作る取り組みを今後も、場所を変えたとしても、続けていこうと考えています。
Text / Sonoko Ikeda