「自分以外の生物が出したうんこ」に歓喜した日のことは忘れないと思います。
先日、ルンルンな気持ちで他者のうんこを片付けました。他者のうんこを前にウキウキしたのも、それを処理したのも初めてのことです。
うんこをトイレからスコップで取り出し、色や形を見るためにまじまじと眺め、キツい臭いを嗅ぎます。
「こんなにたくさんのうんこが溜まってたのか。出してくれて本当にうれしい……」と笑顔の私がいました。
それ以前に、その子がうんこをする様子をこっそり隠れて見ていました。
トイレ中の姿は見てはいけないと知っていますが、密かにチェックできる位置関係にあったので、バレないように見ていたのです。
うんこをしたのは、2月10日、我が家にやってきた猫種・バンビーノ(男の子で名前は「ぐら」。赤ちゃんなので「ぐら坊」とも呼んでいます)です。
12日夜、うちで初めてうんこをしました。
ブリーダーさんのもとを離れてからの2日半、緊張のせいかほとんど飲まず食わずで、栄養・水分不足が心配だったので、パートナーがスポイトで水を飲ませたほど。
おしっこはするものの、そしてうんこをしたそうな感じで、「ん〜ん」と小さく鳴きながら力むものの、うんこが出ずにいたのです。
水分が足りなくて出ないんだろうか、かわいそうに……。
水の器を増やしたり、水を手にとって口に塗ったり、フードをお湯でふやかしたりと、いろいろと試しました。
ただ、人が見ていないところで必要量は飲んでいるとも聞き、ぐらもそうであってほしいと願いました。
飲んでいてほしい。そして、うんこ製造のための水分を蓄えていてほしい——。
こうして出たうんこは4つもあり、コロコロと大きなものでした。
体重2.9kgの赤ちゃんの中に、こんなにたくさんのうんこが詰まっていたなんてと思うと、「ぐら坊、よくがんばったね」と排便後のぐらの頭を撫でずにはいられませんでした。
この先も、私がぐらの排泄物処理班です。
守る必要のある他者の下の世話をする——「子どもを産まないし、共生するのは植物だけだから、縁はないだろう」と思っていたこの経験は、未熟な私を人間として成長させるひとつのきっかけになるような気がします。
Text / Sonoko Ikeda