猫は見ている

2021年6月27日、我が家に猫がやってきました。

当方はペット業界に身を置く者。犬や猫を飼っている従業員は多く、社内では業務中だけでなく雑談の際にも犬猫の話題が多く飛び交っています。

ある日、隣の席の同僚との何気ない会話の中で、「猫初心者はまずはメスを飼うのがいい」という情報を耳にします。
彼女は自宅で猫3頭を飼う、玄人猫飼い主。8キロ超えの2頭の猫をそれぞれ片手で抱えた「両手に猫」状態で階段の上り下りもするという、「猫の重さは無重力」と言わんばかりの強者です。

彼女によると、オスは去勢手術をするまではマーキングにより、カーテンや壁などどこにでもおしっこ(のような臭いの強い液体)をかけるが、メスはそのようなことはないため、初心者でも飼いやすいのだという。

猫を飼う気なんてなかった当方が猫と運命の出会いをした際に、その猫がメスであったことも、迎える決心をした理由のひとつでもあります。

ショップのケージ内にいるときから、まるで犬のように「かまってちゃん」で「甘えん坊」だった彼女は、我が家に来てからも自ら膝の上に乗ってきたり、猫じゃらしでたくさん遊んだりと、その性質に大きな変化はありませんでした。

何人かの同僚に「マンチカンを飼い始めた」と話すと、皆口を揃えて「甘えん坊でしょう!」というくらい、どうやらマンチカンという猫は猫の中でも甘えん坊な性格のようでした。

猫のいる生活を始めて2~3週間程経過したとき、とある変化が生まれていることに気がつきます。

猫が夫の方にやや懐いている感じがあるのです。

夫の後をついていき、夫の膝の上で眠る……。

特に、膝の上で眠る行動というのは、体験するにはなかなかハードルが高いこと。

おかしい。お迎えしたときには自分の方に懐いていたのに。

猫が夫に寝返ったのです。

メスの猫は男性の方に懐きやすいという説を耳にしたことがあります。

うちの猫もそうなったか……。

猫の愛情を夫に奪われた嫉妬心が芽生えます。
おまけに夫も「可愛い、可愛い」と猫をたいそう愛でています。

猫は夫の方が好き。面白くない。

夫の膝の上で甘える猫を、悲しさと寂しさと混ざった気持ちで見つめます。
その当時は夫の愛情まで奪われた気もしていたかもしれません。

しかし、そんな状況でも猫が可愛いことには変わりはありません。
一歩引きながらも当方なりに可愛がり、愛情を注いでいました。

それから半年ほど経ったときでしょうか。

猫が当方に寝返りました。

理由はわかりませんが、当方はこう思っています。
「猫は人を見ている」と。

夫はテレビやスマホに夢中になると、他のことが視界や耳に全く入ってこないタイプ。
そのようなときの夫は自分の世界に入り込み、猫の状況を全く気にしません。

反対に、当方は自分で言うのもなんですが、何かをしながらも周りの状況に注意を向けられるタイプ。
ごはんを食べているときも家事をしているときも、猫が何をしていて、何を望んでいるのか、常に気にかけていました。

猫は自分のことを本当に想っているのは当方、「ママ」のほうだと気がついたのではないか。

「いくらちゃん、最近pocoちゃんにべったりだね」

夫も猫の当方への寝返りを実感したようです。

2024年2月。
こちらを書いている今、猫は当方の太ももの上で寝ています。
太ももの上のブランケットは、猫のよだれでぐっしょりです。

4月には3歳になるものの、いまだに赤ちゃんのように甘える猫。

これからも猫を第一に考えた「猫ファースト」で暮らしていきたいと思います。

Text / poco

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