日常生活を守るため、大事なバッグは肌身離さず

先日、交番へ行く機会がありました。拾得物を届けに行ったんです。

友人と会ったある日のこと、どこかのお店の会員カードと思しきカードが2枚、丁寧に重ねて置かれていました。路上ではなく、建物の出っ張った部分の上に、です。

誰かが拾い、他の人に踏まれないよう、わざわざそこへ置いてくれたのでしょう。

私と友人はそれを交番へ届けに行き、手続きのために合計15分ほど交番にいて、過去に目にした、拾って届けた忘れ物の話をしました。

私が遭遇した最も大きなというか、重要な落とし物はバッグでした。

新幹線の窓際席にある、モノを掛けるフックに掛けられていたチェーンバッグ。

乗り込んで指定席へ辿り着くと、バッグがぽつんと残っていました。嫌な予感がして蓋を開けてみると、財布や鍵などなくてはならないモノばかりが入っています。

人生で必要なモノを凝縮したような中身。新幹線を降りたってから、バッグを忘れたことに気づいたその人の絶望を思うと、私も絶望で悲しみが湧いてきました。

すぐさまスタッフに連絡して手渡し、車掌まで届けてもらいました。無事、持ち主の元へ戻るようにと祈りを込めて。

もともと荷物に関しては注意深い方ですが、公共交通機関で傘を忘れたことは何度かあります。

電車を降りてから、はっ……やってしまった……と浮遊感に包まれるんです。嫌な方の浮遊感。

ただ、そんな忘れ物との出会いがあってから、より注意するようになりました。

たとえば、小さなバッグは肌身離さず持っておく——少なくともそれさえ徹底しておけば「スマホを使えない」「家に入れない」「お金がない」状態にはならないはずです。

私は日常生活を愛しています。そんな日常がたとえ数日でも手の届かぬところにいってしまう、そんな事態を避けるためにも、落とし物をしない在り方を徹底しておきたいところです。

Text / Sonoko Ikeda