結婚相手とSNSは、片目を閉じてかろやかに

友人から「あんたはほんまにSNS楽しんでるな。嫌になることないの?」と言われました。
なんでも、その友人はSNSに疲れてアカウントを削除したとのこと。

私はほぼ毎日、メインで利用しているSNS「X」に何かしら投稿しています。
フォローしている人の投稿を見るのも楽しみにしており、「いいね」を押したりコメントするのが日課の一つと言っても過言ではありません。
コメントのやり取りがきっかけで仲良くなった人たちは、みな優しくユーモアに溢れ、SNSをしているからこその出会いに心から感謝しています。

もちろん楽しいことばかりではありません。
Xでは、フォロー関係なく人気の投稿がタイムラインに流れてきます。
興味深い投稿がある一方で、暴力的な言葉や誹謗中傷、ネガティブな投稿などが視界に入り、マイナスな感情に支配されることも。
SNS依存はしていませんが、波のように次から次へと押し寄せる情報は、私をじわじわと消耗させます。
見なければよいのに、つい見てしまう。そして疲れる。の繰り返し。

もっと気楽にSNSを使いたいと考えていたときに、あることを思い出しました。
私が結婚するときに、当時の職場の大先輩がかけてくれた言葉です。

「結婚は片目つぶってちょうどいいって言うやろ、あれはほんまやで。両目で全部を見たらうまくいかん。誰でも嫌なとこはあるし、全部気にしたらキリないからな」

“結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ。”
イギリスの聖識者、トーマス・フラーの名言で、結婚を決める前は両目を見開くように相手を見極め、結婚後は多少の欠点には片目をつぶるくらい広い心で接しましょう、という意味です。

当時はピンときていなかった私も、結婚生活が15年経った今では首がもげるほど頷きます。
そしてこの言葉は、結婚相手だけでなくSNSにも言えるのではないでしょうか。

私にとってSNSは、自分の活動や、運営するメディアの認知度を上げるための有効な手段の一つで、使わない手はないと考えています。
生活を共にする結婚相手同様、毎日利用するからこそ心地よい関係でいたい。
しかし、他者がつくったプラットフォームを私が制御できることはなく、欠点は自分で避けるしかありません。
そこで大先輩のアドバイスを元に、「嫌なとこあるけど、タダやし便利やし、しゃーないか」と、気に入らない部分は笑って見過ごすよう気持ちを切り替えました。

結婚相手も、他人のSNSの使い方も、変えられません。
嫌なところは、片目を閉じて。
それでも疲れたときは、両目を閉じて。
現実でもSNSの世界でも、自分が喜ぶことに目を向けて、かろやかに生きていくのが私の理想です。

Text / Asako Yano

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