女性用トイレでは需要と供給が合わず、列ができることが往々にしてありますが、ときに譲り合いが行われます。
どう見ても空いている個室があるが、誰も入らない。そんなシーンで「もし良かったら、お先にどうぞ」などと前の人から振られます。
洋式トイレと比べて不人気な和式トイレです。大体「空いてますよ、和式ですけど」とネガティブな表現がなされます。
和式トイレが敬遠される理由は「しゃがみ込んで用を足すとき、おしっこがごく小さい粒子となって飛散し、ボトムスが汚れるから」というのが最たるものかと想像します。
ほかにも、腰や膝の調子が悪くてしゃがむ姿勢を取れない人もいると思います。
大半の人は「洋式トイレの方が断然慣れていて、清潔に用をたせそうだから」という考えで、和式トイレを選択しないのではないかと考えています。
ここで質問です。
「最近、和式トイレを使ったのはいつですか?」
普段聞かれないような、こんな問いかけを皆さんにしてみます。
私はというと「1ヶ月以内」です。
どこだったか覚えていませんが、商業施設か何らかの場所で、前に並んでいた人から「(和式トイレを指さして)先に入られますか?」と譲られ、ありがたく先に使わせていただきました。
出かけた先で女性用トイレを使う場合、和式トイレに出合うことはほとんどありません。
そうやって譲ってもらう機会くらいです。月に一度も使っていないでしょう。
ただ、使うチャンスがあれば積極的に使っています。理由はしゃがみ込む動作を日常ですることが少ないため、貴重な「しゃがみ込みチャンス」と捉えているからです。
しゃがみ込むことで股関節と膝の関節はもちろん、それらと関係する筋肉を使うこともできます。
身体は使っていないと衰えたり、固まっていったりと、あまり良いことがありません。だからこそ、「とても軽い負荷の運動」としてしゃがみ込みたいのです。
だからといって、日常的に和式トイレを使う姿勢でしゃがみ込む時間を作ったり(スクワットは別です)、自宅に和式トイレがある賃貸物件を選んだりするわけではありません。
洋式の方が使うのも掃除も慣れていますから。あくまで、そんなチャンスがあればしゃがみ込みたい、くらいの感覚です。
どんなボトムスでも毎日洗濯しますし、靴は帰宅後に拭けばいいので、ボトムスの裾周りや靴がおしっこや便器内の水で汚れるだろう、というのはあまり気にしません。
用をたすときに裾を上げることを意識はします。
次はいつ、和式トイレと出合えるだろうか。この原稿を書きながらそんなことを思いました。
滅多に巡り合えない、やや遠い存在です。
Text / Sonoko Ikeda
▼トイレに関する学びの本▼